疾病の予防

職業病を分かりやすく解説【薬剤師国家試験対策】

 

職業病の範囲のポイントは

  • 労働安全法における3つの労働衛生管理(マインドマップ右側)
  • どういう職業病があるか

です。

概要

職業病は労働に伴う疾病の一つです。労働に伴う疾病は

  • 災害性
  • 職業性(←職業病はここに該当)

の2つに分けられます。
労働に伴う疾病で1番多いのがぎっくり腰などの災害性腰痛(約55%)です。

職業病は特定の作業に従事することで生じる疾病です。労災の認定数が多いのが脳や心臓疾患です。長時間労働で疲労の蓄積で脳、心臓疾患との関連性が指摘されています。また、近年増加傾向なのが精神障害などです。

これらの職業病を予防するための対策を具体的に見てみましょう。

労働安全法

労働者が働きやすい環境を作るために、

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法

があります。労働基準法は労働基準の最低基準を定めるものです。

労働安全衛生法では労働環境を整えるために

  1. 作業環境管理
  2. 作業管理
  3. 健康管理

この3つを定めています。

作業環境管理

作業環境管理では有害因子の発生抑制を目的とします。

常時50人以上の労働者がいる職場では衛生管理者を置くことが義務付けられています。

作業管理

作業管理は有害因子の曝露量や作業負荷を軽減することで体内への侵入の抑制を目的とします。

具体的には呼吸防護服の活用による暴露の軽減があります。

健康管理

健康診断が該当します。一般的な定期健康診断に加えて、特殊健康診断を行います。

特殊健康診断は各有害因子に対応した検査項目が設定されており、半年に1度行います。実施義務のある職業は

  • 粉じん作業
  • 潜函、潜水作業
  • 放射線業務
  • 特定化学物質を扱う業務
  • 鉛業務
  • アスベスト

などがあります。

特殊健康診断のバイオマーカー

特殊健康診断に使用されるバイオマーカーを押さえましょう。

金属類のバイオマーカーは下の表のとおりです。

特殊健康診断 バイオマーカー 職業病 

水銀とヒ素は、それぞれの物質が毛髪中や尿中で検出されるので問題ないでしょう。

それ以外は覚えにくいのゴロなど活用しましょう。

無機鉛

無機鉛はσ-アミノブレリン酸がバイオマーカーです。

でつなげましょう。

 

四アルキル鉛

ゴロで

コロポックルの尿あるな-

  • コロポックル:コプロポルフィリン
  • 尿:尿中
  • あるな:四アルキル鉛

 

カドミウム

角にぶつけてじんじん痛い

  • 角:カドミウム
  • ぶつ:β₂-ミクログロブリン
  • じんじん:腎障害

 

有機溶媒系のバイオマーカー

特殊健康診断 バイオマーカー 有機溶媒

 

発生要因

物理的

物理的なものには

  • 減圧症
  • 騒音性難聴
  • 振動障害

があります。

減圧症

潜水、潜函などの高圧下で作業をしている状態では窒素が血液や脂肪組織に溶解します。それが急激に常圧に戻ることで窒素が泡の状態になり血行障害が引き起こします。これを潜水病、ケイソン病と言います。

けいちゃん潜って減圧症

  • けい:ケイソン病
  • ん:N→窒素
  • 減圧症

騒音性難聴

金属の衝撃音などの騒音に長期間従事するとなります。最初は高音域の音が聞こえなくなり、次第に低音域の音も聞こえづらくなります。

 

振動障害

振動障害はチェーンソーなどの振動作業に長時間従事すると、振動が腕から伝わり末梢血管(循環障害)、神経障害を起こします。手指の冷えやしびれ、指先が寒冷により真っ白(レイノー現象)などが症状としてでます。これを白ろう病、レイノー症候群といいます。

レイの現象にブルブル

  • レイの現象:レイノー現象(白ろう病)
  • ブルブル:振動障害

 

化学的

化学的には

  • じん肺
  • けい肺
  • アスベスト肺

があります。

じん肺けい肺はそれぞれ

  • じん肺→線維性粉塵
  • けい肺→二酸化ケイ素

を吸入することで生じます。

 

アスベスト肺は石綿(アスベスト)の吸入で起こります。アスベスト肺は肺がん、中皮腫の原因になることも知っておきましょう。

 

作業条件的な職業病

パソコンの操作などモニターを長時間見ていると頸肩腕症候群になります。モニターやキーボードなどを使う作業をVDT(visual display terminal)作業と呼びます。肩や首筋のコリ、だるさなどが現れます。

また重いものを取扱う人で職業性腰痛が見られます。

 

がんの種類と原因物質

がん 原因 ベンジジン 職業病

代表的な職業がんと原因物質を押さえましょう。

膀胱がん

膀胱がんは

  • ベンジジン
  • β-ナフチルアミン

が原因物質で有名です。

構造中にベンゼン環が2つはいっているのでわかりやすいかとおもいます。

 

肺がん

  • ビス(クロロメチル)エーテル
  • アスベスト
  • ニッケル
  • クロム

が有名です。

ビス(クロロメチル)エーテル

  • ビス(=2)→肺は2
  • エーテル吸入麻酔(実際には吸入麻酔でないです)

のイメージで覚えましょう

アスベストは中皮腫の原因にもなるので必ず押さえましょう。

 

胆管がん

胆管がんは

  • 1.2- ジクロロプロパン
  • ジクロロメタン

で両方ともジクロロでClが2つ構造中に入っているのが特徴です。

皮膚がん

皮膚がんが起こるのはヒ素が有名です。

ふ→から始まるで覚えましょう

その他

  • 肝血管肉腫塩化ビニルモノマー
  • 白血病ベンゼン

がそれぞれ原因でなるのも覚えておきましょう。

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