嘔吐の原因は中枢か末梢か?
嘔吐は、中枢が刺激されて吐き気をもよおす嘔吐 と 胃などの末梢が刺激されて起こる末梢性の嘔吐に分けられます。
例を上げてみます。モルヒネや乗り物酔いでの吐き気は嘔吐中枢が刺激されて起こる中枢性嘔吐です。
一方、末梢性嘔吐は急性腸炎、胃·十二指腸潰瘍など腸への刺激で引き起こされる嘔吐です。反射性嘔吐とも呼ばれます。その場合、刺激を受けたことを末梢から中枢に伝えて、中枢から吐き気の指令が下りてきて嘔吐に繋がります。
喉の奥に指を突っ込んで吐くのも、この反射を利用した方法です。
脳の嘔吐中枢が激されなければ吐き気は起こりません。嘔吐中枢を刺激するものは大きく分けると2つあります。
- 1つは末梢(腸)です。胃腸系が刺激されると嘔吐中枢が刺激され、吐き気が起きます。
- もう一方はは、中枢神経系です。嘔吐中枢は大脳、小脳、化学受容器(CTZ)と末梢(胃腸系)から刺激を受け、吐き気として現れます。
嘔吐中枢をいかに刺激しないようにするかが薬の作用点になります。
制吐薬
制吐薬は、中枢に効く中枢性制吐薬と胃などに効く末梢性制吐薬、あとはその両方に効く混合型の制吐薬に分類できます。
中枢性制吐薬
大脳を抑制する薬
ベンゾジアゼピン系が使われます。国試では「BZ系」とだけ覚えておきましょう。
三半規管
小脳から嘔吐中枢に刺激がいきますが、小脳を刺激するのは三半規管です。乗り物酔いの原因となる器官です。三半規管にはヒスタミン受容体が付いています。
抗ヒスタミン薬のジメンヒドリナート、プロメタジンで三半規管を抑え、嘔吐中枢への刺激を抑えます。
CTZ(化学受容器)
CTZは体の検査室です。
血流から流れてきた化学物質を検査しています。モルヒネや細菌の毒素などがCTZの受容体にくっつくと、嘔吐中枢を刺激して吐き出させます。危ないものを食べたら吐き出させる体の防御反応の1つです。
受容体に結合すると嘔吐中枢に刺激が行くので、CTZにはいろいろ受容体がありますが、制吐するには全て遮断薬を使うと覚えておくと楽です。
NK受容体遮断薬のアプレピタントを覚えましょう。抗がん剤の遅発性嘔吐に効く薬はこれくらいしか無いのでめっちゃ出ます。
CTZにはNK受容体の他に5-HT₃受容体とD₂受容体があります。下の混合型の部分で扱っています。
混合型
末梢と中枢の作用があるので混合型と呼ばれます。
末梢(胃)では5-HT₃受容体とD₂受容体を塞いで、中枢に情報を上げないようにします。
中枢のCTZにも5-HT₃、D₂の受容体があり、そこも阻害する作用があります。
- 5-HT₃受容体遮断薬
~セトロン(グラニセトロンなど)
急性期(24h以内)の吐き気に使われます。 - D₂受容体遮断薬
メトクロプラミド、ドンペリドン、スルピリド
ゴロ:スルメとドンペリでめっちゃクラクラ
D₂受容体遮断薬は、統合失調症にも使われる薬です。
特に、スルピリドは用量によって適応が違うのでよく問われます。
末梢性制吐薬
局所麻酔薬のアミノ安息香酸エチルとオキセサゼインが使われます。胃粘膜の知覚神経を麻痺させて
ゴロは局所麻酔薬の「アオキノコは表面のみ、プロとバカは深い」で覚えたゴロの表面のみに効くアオキの部分です。詳しくは局所麻酔薬へのリンクを参考に!