下剤
便を柔らかくして出しやすくする薬です。腸が便の水分を吸収しすぎて固くなってしまっているので、腸の動き(蠕動運動)を速くして水分吸収の時間を抑えるか、浸透圧を高くして水分を腸管に残して便を柔らかくします。
下剤の作用機序は4つに分類できます。物理的、化学的、浸透圧、その他です。
物理的刺激
腸内に物があると腸は蠕動運動を活発化させて出そうとします。それを利用したのがカルメロースです。
服用すると水分を吸って膨らみ腸を物理的に刺激します。口の中に長く入れていると膨らんで詰まることがあるのですばやく水と飲み込む必要があります。
化学的刺激
腸内で分解されて、分解産物が腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促します。
小腸に効く薬と大腸で効く薬に分けられます。薬自体とその分解産物が問われます。ゴロを使って覚えましょう。
ゴロ:
カイジが暇でパーッと使って利子
千円→兆円→ゼロ
小腸に作用する薬
ヒマシ油を覚えておきましょう。
油なのでリパーゼで分解されます。
大腸に作用する薬
センノシドと ピコスルファート、ビサコジルを覚えておきましょう。
センノシドはゴロでも出てきているように腸内細菌によりレインアンスロンに変化し大腸の蠕動運動を促進します。
腹痛、胎盤充血があるため妊婦には禁忌です。
ピコスルファートとビサコジルはほぼ作用は同じです。名前もなんとなく似てますよね。
浸透圧性
腸管内の浸透圧を高めて、水を腸管内に引っ張ってきます。
硫酸Mg、酸化Mg、ラクツロースを覚えましょう。
ラクツロースは~ロースと付くように糖類です。この薬には2つの作用があります。便秘と肝性脳症に使われます。
- 便秘
半合成ニ糖類で胃では分解されないので浸透圧が高いまま小腸に行きます。 - 肝性脳症
小腸で 乳酸+酢酸 に分解されるので腸管内pHが酸性になります。
・NH₃→NH₄⁺でイオン型は腸管吸収が下がる
・腸内細菌のアンモニア生成低下
以上の作用で肝性脳症、高アンモニア血症の治療に使われます。
その他(ルビプロストン)
ルビプロストンも腸管内の浸透圧を高めて水を引っ張り込むのですが、浸透圧性の下剤のように薬自体が浸透圧を高めるのではありません。
この薬は腸管のCl⁻チャネルを開き、腸管内にCl⁻を分泌させて浸透圧を高めます。比較的新しい薬です。
下痢止め(止瀉薬)
下痢は、便秘とは逆に腸が水分をうまく吸収できないため便が固まらず下痢として排出されます。
腸運動抑制
腸運動をゆっくりにしてやることで水分を吸収する時間を与えます。
薬は抗コリン薬 と μ受容体刺激薬のロペラミドを覚えましょう。
モルヒネの副作用として便秘があったと思いますが、ロペラミドは末梢のμ受容体を刺激して腸運動を抑制します。
収斂抑制
腸が痙攣してうまく動けていない状態を改善します。タンニン酸アルブミンと次硝酸ビスマスを覚えてください。
粘膜を保護して過敏になっている腸をなだめるように抑えます。
殺菌性止瀉
ベルベリンを覚えておきましょう。
ベルベリンは生薬の分野でよく出てくる成分です。オウレンなどに入っています。腸内の殺菌作用と発行抑制作用、蠕動運動抑制作用があります。
調整:ポリカルボフィルCa
止瀉作用、瀉下作用の両方の作用がある変わり種の薬です。簡単に言うと、紙オムツの成分を錠剤にした感じです。
紙オムツなので水を吸って、そして膨らみます。
下痢のときは腸内の水分を吸い取り、便秘の時は膨らんで蠕動運動を促進します。
過敏性腸症候群に使われます。過敏性腸症候群は便秘と下痢が起きるのでポリカルボフィルCaによって調子をコントロールできます。