血液サラサラ系の薬

二次止血と薬 ワーファリン、ヘパリンなど薬剤師国家試験】

 

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二次止血と薬、作用機序 線溶系 凝固系

二次止血の解説

  • フィブリンを作るのに必要な酵素:トロンビンでフィブリンを調整(凝固系)
  • フィブリン自体を溶かす(線溶系)

凝固系

トロンビンを活性化して凝固系を進めます。

前駆物質の名前がめんどくさいですが、トロンビンを元に名前を見ていくと簡単です。
トロンビンが作られる過程をゴールから遡って見てみましょう。

  • トロンビンはプロトロンビンから
    プロは「前の」なのでトロンピンになる前のものって意味です。プロトロンビンからトロンビンになるのには組織トロンボプラスチン(=Xa因子)が酵素として作用します。
  • プロトロンビンはデカルボキシプロトロンビンから作られます。
    デは「無い」という意味なので、カルボキシ基がないプロトロンビンっていう意味です。
    プロトロンビンになる時にビタミンKが必要になります。

ここまでで、トロンビンの前駆物質はおしまいです。

さらに凝固系は厳密に制御されています。トロンビンができた後もアンチトロンビンⅢでトロンビンを阻害して調節しています。

線溶系

線溶系はできてしまったフィブリンを溶かす経路です。プラスミンがフィブリンに作用して溶かします。
この系も何でも血栓を溶かしてしまうと困るので、プラスミノーゲン→プラスミンの経路で活性化されます。
そのときに働くのがプラスミノーゲンアクティベーターです。その名の通りの働きですね。プラスミノーゲンをアクティブ(活性化)する酵素です。
ここも血栓を溶かしすぎると出血してしまうので制御が必要です。プラスミンの働きを抑えるのがです。

ここまででフィブリン血栓のでき方と調整法が理解できました。
これで薬の作用点は全て出てきています。
しょう。

抗凝固薬:凝固系の抑制薬

抗凝固薬 作用機序 一覧 まとめ

ビタミンKの阻害

デカルボキシプロトロンビン→プロトロンビン
に必要な補酵素のビタミンKを阻害するのがワーファリンです。

ワーファリンはビタミンKに似た構造を持った拮抗薬です。ビタミンKは脂溶性ビタミンなので脂溶性が高く胎盤を通過します。そのため妊婦には禁忌です。
余談ですが、脂溶性のビタミンの覚え方は「脂溶性ビタミンはこれだけ(DAKE)」です。ビタミンD,A,K,Eが脂溶性ビタミンです。関連付けて覚えましょう。

ビタミンKの拮抗薬なので、ワーファリンを入れすぎて出血傾向がみられたときは解毒薬としてビタミンK製剤のフィトナジオン、メナテトレノンを入れればOKです。

組織トロンボプラスチン(Xa因子)の阻害

プロトロンビン→トロンビン
で作用する組織トロンビン(Xa因子)を阻害するのが

  • Xa因子合成阻害薬
    フォンダパリヌクス
  • 直接Xa阻害薬
    〜キサバン」エドキサバン、リバロキサバン
  • ヘパリン類似物質
    ~パリン」ダルテパリン、バルナパリンなど
    語尾の例外はダナパロイド

アンチトロンビンの活性化

トロンビンを邪魔するアンチトロンビンを助けることで間接的にトロンビンを抑えます。
この作用点の薬はヘパリンです。ヘパリン類似物質も少しだけアンチトロンビン阻害作用がありますがメインはXa因子の阻害です。

ヘパリンは多糖です。グルクロン酸とグルコサミンが重合して構成されています。そのためワーファリンと違って脂溶性が低い物質でなので胎盤を通過しません。ヘパリンは妊婦にも使用できます。
ちなみにヘパリン類似物質は低分子化されており胎盤を通過してしまうのでこちらは妊婦禁忌です。

解毒薬はプロタミンです。ヘパリンは酸性なので塩基性のプロタミンを入れて中和します。

抗トロンビン薬

今まではトロンビンの周りの酵素をターゲットにしていましたが、今回はトロンビン自体を阻害します。国試では、「アンチトロンビンⅢ非依存的に効く」とか書かれます。トロンビンを直接阻害するのでアンチトロンビンは関係ないのは当たり前ですよね。

ゴロ:トンビに乗ってガアナの旅へ!

抗凝固薬 ゴロ トロンビン 覚え方

  • ガベキサート
  • アルガトロバン
  • ナファモスタット
  • ダビガトラン

線溶系を活性化する薬

できてしまったフィブリンを溶かします。心筋梗塞や脳梗塞などに使われます。

線溶系はプラスミノーゲンがプラスミンになり、フィブリン血栓を溶かす系でした。
線溶系を進める酵素がプラスミノーゲンアクティベーターです。

プラスミノーゲンアクティベーターを薬として入れてあげれば血栓を溶かすことができます。
それがウロキナーゼ(=u-PA)アルテプラーゼ(=t-PA)です。

ウロキナーゼとアルテプラーゼの違いは

  • 血管中をウロウロしてるのがウロキナーゼ
  • 血栓の中から溶かすのがアルテプラーゼ

血管の中をウロウロして血栓見つけたら外から溶かすより、
血栓の中から溶かすアルテプラーゼのほうが強力に効きます。また、血管中にはα–プラスミノーゲンインヒビターがプラスミンを抑えてしまうのでウロキナーゼは更に効きにくいです。
治療で使われるのはほとんどアルテプラーゼの方です。発症4.5時間以内に使います。ものすごい強力なので、それ以上時間が経ってから使っても出血のリスクの方が大きいため時間制限を設けています。

血液サラサラ系の薬の全体像、一次止血と薬について

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