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動画で解説
一次止血の位置づけ
一次止血は血小板血栓によって止血されます。
一次止血では血小板血栓ができることを学びました。血小板が血管の損傷した部位にくっついて、セロトニンやADP、トロンボキサンといった化学物質を放出し、さらに血小板を集め凝集させます。
血小板の中では、Ca²⁺濃度が上昇して細胞興奮が起きて化学物質を放出します。抗血小板薬の作用は、血小板を興奮させないことで血小板凝集を抑えます。具体的には、セロトニンなどの受容体に作用します。
血小板阻害薬の勉強のポイントは受容体をGs,Gi,Gqのタンパク共役型で分類分けして作用機序を分類することです。
受容体が5種類出てきます。まずは、受容体のタンパク共役型を覚えてください。そうするとGsとGq共役型の2通りの作用機序を覚えるだけで済みます。GsとGiは真逆なので、Gsを覚えてGiは逆なので作用機序もわかります。
血小板凝集抑制薬の全体像
Gs共役型:A₂、PGI₂
Gs共役型の受容体はアデノシンA₂受容体 と プロスタグランジンのPGI₂受容体です。
Gsタンパクは
アデニル酸シクラーゼ(AC)を活性化
→cAMP増加
→プロテインキナーゼA(PKA)活性化
→Ca²⁺小胞のCaポンプを活性化させて細胞内の小胞にCa²⁺を溜め込ませます。すると、細胞質のCa²⁺濃度が下がります。
PGI₂受容体
ベラプロストを覚えましょう。~プロストとつくので覚えやすいですね。
機序はGsなので上記のとおりです。
A₂受容体刺激薬
アデノシンA₂受容体の刺激はジピリダモールを覚えてください。
ジピリダモールには2つの作用があります。
- Gs共役型のA₂受容体を刺激してCa²⁺濃度を下げる上記の作用
- PDEⅢの阻害作用
cAMPを分解するPDEを阻害してcAMP濃度を上昇させます。
Gi共役型
ADP受容体がGiタンパク共役型です。Gs共役型のときには刺激するとCa²⁺濃度は下がりました。GiはGsと逆なので受容体を遮断すればCa²⁺濃度が下がります。ADP受容体遮断薬は、チクロピジン、クロピドグレル、プラスグレルを覚えておきましょう。
覚え方は、「クロピープル AD,P阻害」
悪い人(クロピープル)が取材してくるAD:アシスタントディレクターやP:プロデューサーを邪魔するイメージです。
その他:PDE阻害薬
PDEⅢを阻害することで細胞内のcAMP濃度を上げ、Ca²⁺濃度を下げるのを助けます。この分類の薬にはシロスタゾールと、Gsタンパク共役型で出てきたジピリダモールを覚えておきましょう。
シロスタゾールの覚え方は
「サンスター歯が白い」です。
Gq共役型
血小板の作用点となるGqタンパク共役型受容体はセロトニン5-HT₂受容体、トロンボキサンTXA₂受容体があります。
Gqタンパク共役型の受容体を刺激すると
Gq活性化→IP₃↑→Ca小胞からCa²⁺流出→細胞内Ca²⁺濃度↑→血小板凝集
以上の経路で、刺激すると血小板凝集してしまいます。そのため薬はGq共役型受容体を遮断する薬を使えば血小板凝集を抑えられます。
TXA₂受容体を抑える
TXA₂受容体を抑えるには合成を邪魔するか、受容体を遮断するかの方法がありますが、抗血小板薬ではアラキドン酸からの合成阻害で受容体を抑えます。
- COXを阻害するのがアスピリンとEPA
アスピリンは不可逆的にCOXにへばりついて阻害します。
EPAは競合的に阻害します。EPA自身はPGI₂になるのでGs共役型のPGI₂受容体を刺激→血小板凝集抑制作用もあり、2つの作用点で血小板凝集を抑制します。 - トロンボキサン合成酵素阻害がオザグレル
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