疾病の予防とは

一次予防・二次予防・三次予防の違いと具体例【薬剤師国家試験】

疾病の予防とはのマインドマップ
疾病の予防とはのマインドマップ

衛生の必須問題で、ほぼ毎年どこかの回で出ているのがこの単元です。「一次予防に該当するのはどれか」「三次予防に該当するのはどれか」と、選択肢に具体例が5つ並ぶ形が定番。覚えることは3つだけなのに、確実に1点取れます。

ポイントは、時間軸のどこにいるかで分けることです。まだ病気になっていない段階が一次、病気はあるが自覚していない段階が二次、すでに病気になってしまった後が三次。この順番さえ体に入れば、初めて見る具体例でも判断できます。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。衛生の講義はYouTubeで全編無料公開しているので、読むより耳から流し込みたい人はそちらもどうぞ。

3つの予防を時間軸で並べる

まず全体像です。

段階 いつやるか 目的 代表例
一次予防 まだ健康なとき 健康増進・発症そのものを防ぐ 健康教室、禁煙教室、予防接種
二次予防 発症しているが自覚がないとき 早期発見・早期治療 がん検診、集団検診、新生児マススクリーニング
三次予防 発症して治療した後 機能回復・能力低下の防止・再発防止 リハビリテーション、在宅機能訓練、社会復帰支援

この表の「いつやるか」の列が判断の軸です。選択肢を見たら、その人はまだ健康か、病気を持っているが気づいていないか、もう病気だとわかっているかを考えてください。

一次予防:まだ健康な段階で行う

一次予防は、健康な人が病気にならないようにする取り組みです。ここはさらに2つに分かれます。この細分類が理論問題で問われます。

非特異的予防(健康増進)

特定の病気を狙っていない、全般的な健康づくりです。

  • 栄養改善(減塩など)
  • 食事摂取基準の策定
  • 環境保全行政(上下水道の管理など)
  • 禁煙教室、母親教室
  • 地域住民を対象とした健康教室

「これをやればこの病気が防げる」という一対一の関係がないものが、こちらに入ります。

特異的予防

一方、特定の疾患を狙い撃ちする予防が特異的予防です。

  • 予防接種(麻疹のワクチンは麻疹を防ぐ)
  • 作業環境の管理(有機溶媒やアスベストなど、特定の有害物質からの防御)
  • 事故防止

予防接種は一次予防の特異的予防。ここは何度も出るので、そのまま覚えてください。「予防接種=二次予防」という選択肢は誤りです。

二次予防:早期発見・早期治療

二次予防は、すでに病気が始まっているのに、本人がまだ気づいていない段階を拾い上げる取り組みです。マインドマップでは「疾病を自覚させる」と書かれていて、この一言で判断できるようになります。

  • がん検診
  • 定期健康診断、集団検診
  • 新生児マススクリーニング(タンデムマス法による先天代謝異常の検査)
  • 特定健康診査・特定保健指導
  • 献血された血液の抗HIV抗体検査

ひっかけやすいのが特定健康診査・特定保健指導です。名前に「保健指導」とあるので一次予防に見えますが、健診で拾い上げて指導するという流れなので二次予防です。第101回では、これが一次予防の選択肢に紛れ込む形で出題されました。

同様に新生児マススクリーニングも、「生まれたばかりの赤ちゃんに行うから一次予防」と考えたくなりますが、先天代謝異常という疾病を早期に発見する検査なので二次予防です。

三次予防:機能回復・能力低下の防止・再発防止

三次予防は、発症して治療を受けた後の段階です。目的は3つあります。

  • 能力回復: 寝たきりを防ぐためのリハビリテーション、在宅機能訓練
  • 再発防止: 再発予防のための服薬指導や生活指導
  • 社会復帰: うつ病患者に対する社会復帰支援、就労支援

ITMZでは三次予防の目的を「生理機能の低下 → 機能障害 → ハンディキャップ → 社会的に不利」という連鎖を断ち切ること、と表現しています。病気そのものを消すのではなく、その人が社会の中で不利にならない状態を目指すのが三次予防だと理解しておくと、緩和ケアや社会復帰支援が入ることにも納得できます。

国試ではこう問われる

必須問題での出題が非常に多い単元です。過去15年分から、そのまま形式を示します。

回 問い 正解
第97回・問18 疾病の二次予防に該当するのはどれか 集団検診
第101回・問21 疾病の一次予防に該当するのはどれか 喫煙者を対象とした禁煙教室
第107回・問89 疾病の一次予防に該当するのはどれか 地域住民を対象とした健康教室
第111回・問16 疾病の三次予防に該当するのはどれか 在宅機能訓練

紛れ込んでくる誤り選択肢は、毎回ほぼ同じ顔ぶれです。

  • がん検診(二次予防) — 一次予防の問題に必ず入ってくる
  • 予防接種(一次予防) — 二次・三次予防の問題に入ってくる
  • 社会復帰支援・緩和ケア・機能訓練(三次予防) — 一次予防の問題に入ってくる
  • 特定健康診査・特定保健指導(二次予防) — 一次予防の問題に入ってくる
  • 新生児(タンデム)マススクリーニング(二次予防) — 一次予防の問題に入ってくる

理論問題では、第110回・問123のように「疾病予防・目的・具体例」の3つを組み合わせた表から正しい行を選ばせる形も出ています。このときは目的の欄まで一致している必要があるので、一次=健康増進/特異的予防、二次=早期発見・早期治療、三次=能力低下防止・機能回復という対応も押さえておいてください。

まとめ

  • 一次予防はまだ健康な段階。非特異的予防(健康教室・禁煙教室・減塩・環境保全)と特異的予防(予防接種・作業環境管理)に分かれる
  • 二次予防は早期発見・早期治療。がん検診、集団検診、新生児マススクリーニング、特定健康診査・特定保健指導
  • 三次予防は発症後の能力低下防止・機能回復・再発防止。リハビリテーション、在宅機能訓練、社会復帰支援
  • 判断の軸は「その人はまだ健康か、気づいていないだけか、もう病気とわかっているか」
  • ひっかけの常連は特定保健指導(二次)と新生児マススクリーニング(二次)、そして予防接種(一次)

次は感染症をめぐる法制度|新興・再興感染症、検疫法、感染症法を読んでみてください。

動画で学びたい人へ

この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。

衛生を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、衛生という科目のほんの一区画です。実際には、保健統計・疫学から疾病の予防、食品衛生、化学物質の毒性、生活環境までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

衛生は覚えることが多い科目ですが、数字や分類を単体で暗記しようとすると、似たものどうしが混ざって崩れます。「この物質がどの分類に入って、どの法律で規制されているのか」が地図として見えていると、覚える量そのものが減ります。

衛生のマインドマップ(¥3,500)は、その全体像を1枚に収めたPDFです。地図をたどりながら話す講義動画はYouTubeで全編無料公開しているので、この進め方が自分に合うかどうかは先に確かめられます。

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