法律と倫理規範

インフォームドコンセントとハインリッヒの法則、医療現場の倫理実践ポイント【薬剤師国家試験】

前回は、生命倫理の4大原則と医の倫理の変遷という「倫理規範そのもの」を見てきました。今回はその一歩先、その倫理規範が実際の医療現場でどう使われているのかという話です。

マインドマップでは「医療人のこころ構え」という枝にあたります。ここに並ぶ4つは国試でそのまま出てくるので、1つずつ押さえていきましょう。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

マインドマップで見る「医療人のこころ構え」

法律と倫理規範のマインドマップ(インフォームドコンセント・ハインリッヒの法則・医薬品の創製と供給・生涯教育)
法律と倫理規範のマインドマップ(インフォームドコンセント・ハインリッヒの法則・医薬品の創製と供給・生涯教育)

左上に伸びているのが「医療人のこころ構え」の枝です。インフォームドコンセント/ハインリッヒの法則/医薬品の創製と供給/生涯教育の4本に分かれています。

①インフォームドコンセント — 2つの要素が合わさった概念

一番大事なのがこれです。日本語では「説明と同意」と訳されますが、国試ではもう一段細かく問われます。

インフォームドコンセントは、2つの概念が合わさってできていると覚えてください。

要素 内容
知る権利 その患者に必要な情報、または患者が知りたい情報のすべてを、分かりやすく説明して、患者が理解すること
患者の自己決定権 知って理解したうえで、患者自身が決定すること

ポイントは、説明しただけでは足りないということです。患者が理解し(知る権利)、そのうえで自分で決める(自己決定権)。この2本立てで初めてインフォームドコンセントが成立します。

そしてこの概念の出どころは、前回出てきたヘルシンキ宣言です。人体実験の倫理規定としてインフォームドコンセントが定められ、そこから医療現場一般に広がっていきました。「インフォームドコンセントといえばヘルシンキ宣言」というつながりは、そのまま治験の問題でも使えます。

②ハインリッヒの法則 — アクシデントの前にインシデントが隠れている

2つめはハインリッヒの法則です。医療事故(アクシデント)の前には、ヒヤリ・ハット事例(インシデント)が隠れているという考え方です。

具体的には、1件の大きなアクシデントの背後に29件の小さなアクシデントがあり、さらにその背後に300件のインシデントが隠れている、という比率で語られます。

ただし、この数字そのものを覚える必要はありません。国試で問われるのは、アクシデントの前にインシデントが隠れているという考え方のほうです。だからこそ、ヒヤリ・ハットの段階で拾い上げて共有することに意味がある、という話につながります。

③医薬品の創製と供給

3つめは、医薬品をつくって届けるという薬剤師ならではの責務です。ここも源流はヘルシンキ宣言にあります。

実際のルールにあたるGCP省令(治験を行うための基準)は、薬機法の「医薬品等の開発」のパートで詳しく扱います。ここでは「医療人のこころ構えの一つとして、医薬品の創製と供給がある」「その具体化がGCPなどの基準になる」という位置づけだけ押さえておけば十分です。

④生涯教育 — 研修認定薬剤師制度と日本薬剤師研修センター

4つめは生涯教育です。ここは固有名詞がそのまま問われます。

  • 支援団体:日本薬剤師研修センターなど
  • 認定制度:研修認定薬剤師制度(日本薬剤師研修センターが認定)

日本薬剤師研修センターは、厚生労働省が主導してつくられた経緯があるため、国試にもよく顔を出します。センターの名前と制度の名前をセットで覚えておきましょう。前回出てきた薬剤師綱領・薬剤師行動規範の「日本薬剤師会」と混同しやすいので、ここは意識して区別してください。

まとめ

  • 医療人のこころ構えはインフォームドコンセント/ハインリッヒの法則/医薬品の創製と供給/生涯教育の4つ
  • インフォームドコンセントは知る権利+患者の自己決定権の2本立て。出どころはヘルシンキ宣言
  • ハインリッヒの法則はアクシデントの前にインシデントが隠れているという考え方。件数の比率そのものは覚えなくてよい
  • 医薬品の創製と供給は、具体的なルールとしてGCP省令につながる
  • 生涯教育では日本薬剤師研修センターと研修認定薬剤師制度をセットで。薬剤師綱領をつくった日本薬剤師会と混同しない

次は死の定義(心臓死・脳死)と尊厳死・安楽死の違いを整理を読んでみてください。

法規を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。

法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。

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