法律と倫理規範

「法律と倫理規範」とは?生命倫理・医の倫理・死生観の学び方【薬剤師国家試験】

法規の4分野のうち、最初に置かれているのが「法律と倫理規範」です。法律の科目なのに倫理から始まるので、少し面食らうかもしれません。

でも、ここを飛ばして条文の暗記に入ると、あとで必ず戻ってくることになります。治験のルールを定めたGCP省令も、インフォームドコンセントも、もとをたどればこの分野で出てくる倫理規範から生まれたものだからです。分量としても多くないので、法規の入り口としてはちょうどいいところです。

この記事では、この分野全体の地図と、土台になる「倫理的責任と法的責任の違い」を押さえます。中身の3テーマは、この後に続く3本の記事で1つずつ整理していきます。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

マインドマップで見る「法律と倫理規範」の全体像

法律と倫理規範のマインドマップ(法と倫理・倫理規範・医療人のこころ構え・倫理的問題)
法律と倫理規範のマインドマップ(法と倫理・倫理規範・医療人のこころ構え・倫理的問題)

中央から伸びている枝は4本。法と倫理/倫理規範/医療人のこころ構え/倫理的問題です。この4つの並びには意味があって、「土台の考え方 → 具体的な規範 → 現場での実践 → 今まさに議論されている問題」という順番になっています。

そもそも、なぜ法律の前に倫理を学ぶのか

この分野の一番の前提が、法律とは倫理の最低限のルールであるという捉え方です。

私たちが社会の中で「こうあるべきだ」と考えていることのうち、これだけは守ってもらわないと困るという最低限の部分を、国が強制力をもって保障する。それが法律だ、というイメージです。

だから、倫理を先に知っておくと法律が見えてきます。逆に条文だけを先に覚えると、「なぜこんな決まりになっているのか」が分からないまま丸暗記することになり、応用問題で崩れます。

倫理的責任と法的責任の違い

この分野の土台になるのが、倫理的責任と法的責任という2つの言葉の区別です。ここは国試でも問われるので、しっかり押さえておきましょう。

倫理的責任 法的責任
性格 自律的な規範 他律的な規範
誰が求めるもの? 自分自身(と社会の合意) 国家
中身 行動規範、道徳、倫理 社会が求める倫理のうち、最低限守るべきものを国家が法的強制力をもたせたもの

キーワードは自律的と他律的です。

倫理的責任は、自分で自分を律するもの。行動規範や道徳、倫理といったものがこれにあたります。守らなかったからといって、ただちに国から罰を受けるわけではありません。

一方の法的責任は、自分の外側にある国が規制してくるもの。だから他律的です。具体的には民事責任・刑事罰・行政処分といった形をとります。この3つの中身については、次の分野である「薬学と社会」の最初(法令の構成と一般法)で詳しく扱います。

この分野は4つのブランチでできている

全体像をもう一度、枝ごとに整理しておきます。

①法と倫理

いま見た、倫理的責任と法的責任の区別です。この分野の土台にあたります。

②倫理規範

では実際の倫理規範にはどんなものがあるのか、という話です。生命倫理の4大原則、医の倫理の変遷(ヒポクラテスの誓いからリスボン宣言まで)、そして日本薬剤師会がつくった薬剤師綱領・薬剤師行動規範の3つを扱います。

③医療人のこころ構え

②の倫理規範を、もっと医療現場の実践に近づけたものです。インフォームドコンセント、ハインリッヒの法則、医薬品の創製と供給、生涯教育の4つが出てきます。

④倫理的問題

医療が発展したことで、かえって判断が難しくなってきたテーマを扱います。中心になるのは死です。死の定義(心臓死・脳死)、そして尊厳死と安楽死の違いを整理します。

この後の3記事で扱う内容

ブランチ②〜④の中身は、次の3本の記事で1つずつ見ていきます。

  1. 生命倫理の4大原則と医の倫理の変遷(ヒポクラテスの誓い〜リスボン宣言)を一気に暗記 — ブランチ②。治験のルールの源流になる宣言・綱領を時系列で整理します
  2. インフォームドコンセントとハインリッヒの法則、医療現場の倫理実践ポイント — ブランチ③。倫理規範が現場でどう使われているかを見ます
  3. 死の定義(心臓死・脳死)と尊厳死・安楽死の違いを整理 — ブランチ④。臓器移植が認められる死の種類まで押さえます

まとめ

  • 法規が倫理から始まるのは、法律が倫理の最低限のルールだから。倫理を先に知ると法律が見えてくる
  • 倫理的責任は自律的な規範(行動規範・道徳・倫理)、法的責任は他律的な規範(国家が法的強制力をもたせたもの)
  • この分野は「法と倫理/倫理規範/医療人のこころ構え/倫理的問題」の4ブランチ構成
  • 民事・刑事・行政という法的責任の中身は、次の分野「薬学と社会」で詳しく扱う

次は生命倫理の4大原則と医の倫理の変遷(ヒポクラテスの誓い〜リスボン宣言)を一気に暗記を読んでみてください。

法規を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。

法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。

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