この記事では慢性白血病の各論について見ていきます。
白血病の概要はこちらをご覧ください。↓
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- 進行がゆっくり
- 分化能力が有る癌細胞
全ての分化段階の血液細胞が血中に流れ出ます。
よって、慢性白血病の場合は白血病裂孔陰性です。
慢性骨髄性白血病
この疾患は、染色体異常が原因で生物などとも結びつけやすいので国試に出やすい疾患です。
原因についてまずは見ていきましょう。
原因はフィアデルフィア染色体
9と22番目の染色体の端っこが切れて繋がり(相互転座し)フィアデルフィア染色体が形成されます。
「遺伝子→タンパク発現」の流れなので、
切れて繋がった変な部分からBcr/Ablチロシンキナーゼが作られます。
こいつは刺激がなくてもガンガン活性化しており、がん細胞を増やし続けます。
検査
- 血液検査では白血球数がUP↑
→白血球のがん細胞が増えているので。 - 骨髄検査ではフィアデルフィア染色体が見つかる
原因を考えれば、この二つは当たり前ですね。
症状
症状は無症状が多いですが、脾腫が起きていることがあります。
これはがん化した成長途中の白血球もどきが集められ処理されるからです。
治療
慢性骨髄性白血病は
慢性期→移行期→急性転化期
の三段階の病期に分けられます。
治療の目的は白血病細胞を抑え慢性期を持続させ、急性転化させないことです。
病期:急性転化に注意
慢性骨髄性白血病は3つの期に分けられます。
慢性期
慢性骨髄性白血病は自覚症状が出ることはそんなにありません。
この期での抗癌剤治療の目的は、白血病細胞を減らして慢性期にとどまらせることです。
移行期
- 白血病細胞の増殖の能力が高まる
- 分化する能力が失われる
- 骨髄や血中に芽球が増加
急性転化期(=急性期)
芽球が急増し、急性白血病に類似した状態になります。
血球が減るので、貧血、感染症、出血傾向などです。
治療は、慢性期の時の治療では白血病細胞を抑えきれないので、急性白血病の治療と同じ治療になります。
慢性期の治療
第一選択薬は分子標的薬のイマチニブです。それが合わなかっったら、ボスチニブ、ダサチニブ、ニロチニブを検討します。
↓イマイチな時はボスダニで対処!
分子標的薬の効果が高いので、昔第一選択薬だったIFN-αに取って代わっています。
また、2018年度版のガイドラインでは、骨髄移植は分子標的薬をつかっても良くならない症例の場合に検討されます。
(現在も根治できる唯一の治療法は骨髄移植のみです。)→生物の免疫分野でHLAと結びつけて出ることがあります。
その他の薬として、ブスルファン、ヒドロキシカルバミドもあります。
語呂合わせで覚えましょう
「慢性のひどいブスのフェロモンイマイチ」
慢性リンパ性白血病
これは慢性骨髄性白血病と比べるとあまり出ません。抑えとく点は2つ
- B細胞ががん化し増殖することが多い
- 自己免疫性溶血性貧血の原因疾患の1つ
だとわかっていればOKです。
最後に
慢性白血病やDIC、悪性リンパ腫など血液系の他の疾患はこちらにまとまっています。↓