クッシング症候群とは??
クッシング症候群は糖質コルチコイドが慢性的に過剰分泌され種々の症状を引き起こす病気の総称です。
疫学的には女性が多い疾患です。
具体的に
- クッシング病
- 副腎皮質腺腫
- 異所性ACTH
があります。
ポイントは腫瘍(=原因)がどこにできるかです。
腫瘍の場所によりホルモンの動きが変わってくるので注意しましょう。
クッシング病
クッシング病は下垂体腺腫によりACTHの分泌が過剰になります。
3種類のクッシング症候群の中で唯一、ACTHが過剰になるので必ず抑えておきましょう。
ACTHの分泌に伴いコルチゾールの分泌も増加します。コルチゾールの分泌でネガティブ・フィードバックがかかりますが、フィードバックの抑制よりも腺腫からのACTH分泌能のほうが強いのでACTHは過剰のままです。
正常な場合には、日内変動で朝が多く夕方には減っていきますが、クッシング病ではこの日内変動がなくなるのが特徴です。
異所性ACTH症候群
異所性ACTH症候群では肺小細胞がんなどの下垂体外の腫瘍がACTHを分泌し、コルチゾールの分泌が増加します。
ネガティブ・フィードバックはかかるので視床下部や下垂体からのCRHとACTHの分泌は減ります。ですが腫瘍からのACTH分泌は抑制されないのでコルチゾールは分泌され続けます。
副腎皮質腺腫
副腎皮質腺腫は文字通り、副腎皮質に腺腫ができコルチゾールが産生され続けます。
ネガティブ・フィードバックによりCRHとACTHは常に抑制され続けます。
クッシング症候群の症状
糖質コルチコイドの産生過剰により起こる症状は、糖質コルチコイドの作用を思い出しましょう。
作用は多岐に渡ります。
- 糖新生が亢進することによる糖尿病
- タンパク質の異化により筋委縮や骨粗鬆症
- 中心性肥満や満月様顔貌(ムーンフェイス)、野牛様肩(バッファロー肩)
- 伸展性皮膚線条
などです。
また鉱質コルチコイドの作用もあるので
- 高Na血症
- 低K血症
となり高血圧を引き起こします。
具体的な副腎皮質ホルモンの作用はこちらにもまとめてあります。
検査
高用量デキサメタゾン抑制試験
検査の中でも特に知っておきたいのが
高用量デキサメタゾン抑制試験です。ネガティブ・フィードバックを利用した試験でクッシング病かどうかを判別していく方法になります。
クッシング病はネガティブフィードバックがかかってはいますが、それ以上に下垂体の腫瘍からのACTH分泌能が強い状態です。
ここに大量のデキサメタゾンを投与することで、腫瘍によるACTHの分泌も抑えるほどの負のフィードバックをかけます。結果としてコルチゾールの分泌が抑制されます。
抑制されたのを試験で陽性とし、クッシング病であると判別できます。
メチラポン投与
他にはメチラポンの投与により検査する方法があります。
メチラポンは11βヒドロキシラーゼを阻害することでコルチゾールの産生を抑制しています。
クッシング病の場合には負のフィードバックがかからなくなりACTHが過剰分泌します。
一方副腎皮質腺腫の場合には、すでに慢性的なコルチゾールの分泌のせいで下垂体機能が低下しており、負のフィードバックがなくなっても、ACTHの分泌が亢進することはありません。無反応を示します。
治療
第一は外科的切除です。
手術不能例にはミトタンやトリスタンといった副腎皮質ホルモン合成阻害薬を使用します。
ミトタンはどの段顔で合成が阻害されているか明確になっていませんがステロイド分泌量の低下が認められています。
また副腎皮質の束状層や網状層の縮小が指摘されています。