内分泌系疾患

副腎皮質ホルモンの機能と生合成を簡単に解説【薬剤師国家試験】

薬理 マインドマップ 図 副腎皮質ホルモン ステロイド アルドステロン メチラポン トリスタン

まずは構造とホルモンをざっくり理解しよう

副腎皮質はいくつかの層に別れています。

内側から網状層、束状層、球状層と別れます。

それぞれの層から

  • 網状層→副腎アンドロゲン(テストステロン)
  • 束状層→糖質コルチコイド=ステロイド
  • 球状層→鉱質コルチコイド

を分泌します。

 

覚え方は

高級豚足、モダン焼き です。

  • 高(鉱)→鉱質ホルモン    級(球)→球状層
  • とん(糖)→糖質ホルモン   足(束)→束状層
  • モ→網状層          ダン(男)→アンドロゲン(テストステロン)

 

糖質コルチコイドはネガティブフィードバックをかけます。視床下部からのCRHと前葉からのACTHの分泌を抑制します。

一方、球状層では分泌した鉱質コルチコイドが抗利尿作用を示します。鉱質コルチコイドはN+,K+交換系を促進し水の再吸収をする結果、血圧上昇に繋がります。

 

糖質コルチコイド

 糖質コルチコイドにもいくつか種類がありますが、メインはヒドロコルチゾン(コルチゾール)です。

糖質コルチコイドの分泌には日内変動があり、朝のほうが多く分泌され夜間に減少します。そのためステロイドの投与を行う場合にもこれに合わせて朝が多めで夜は少ない量で投与することが多いです。

 

作用機序は

コルチゾールが、細胞質に局在する受容体に結合し核内移行することで遺伝子の転写を調節します。

これにより様々な作用を引き起こします。

コルチゾールの作用は多いので、副作用とセットで覚えましょう。

 代謝関連だと血糖上昇とタンパクの異化、脂肪分解効果があります。当然副作用には、糖尿病、骨粗鬆症(骨基質のタンパクが減るから)、血中遊離脂肪酸の増加が出てきます。

 

次は、抗炎症、免疫抑制作用です。免役が低下するので感染症になるリスクが高くなります

胃酸分泌促進作用はPGE2 の産生抑制効果によるものです。消化性潰瘍の原因なります。

また糖質コルチコイドは弱い鉱質コルチコイドの分泌効果もあります。そのため抗利尿作用が働くので浮腫を引き起こします。

機序は不明な点がまだありますが、白内障、緑内障を起こすこともあります。このような症状をもつ患者には禁忌になっています。

副作用で他にはクッシング症候群症状が出るのを知っておきましょう。症状は満月顔、浮腫、高血糖、低K症状などです。浮腫により顔がパンパンになり、鉱質コルチコイドの作用によりK+低下するのでわかると思います。

また、ステロイドの長期連用で副腎皮質萎縮が起こります。かんたんに言うと、外からステロイドが補充されることで、副腎がちゃんと働かなくなり萎縮するイメージです。ステロイドを自分で分泌できていないので、急に薬をやめると離脱症候群を起こすので徐々に減量していきます。

ステロイドの生合成

ステロイドがどのようにして生合成されるのか、かんたんに理解しておきましょう。

スタートはコレステロールです。コレステロールはプレグネノロンという物質に最初になります。その後、各酵素の働きにより各ホルモンへと変化していきます。プレグネノロンに3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素が作用するとプロゲステロンができます。プロゲステロンからアルドステロンヒドロコルチゾンができる2つのルートがあります。細かい過程を覚える必要はありません。両方のルートで11β-水酸化酵素が必要ということは知っておいてください。

 

抗副腎皮質ホルモン阻害薬

アルドステロン拮抗薬

アルドステロン(鉱質コルチコイド)の拮抗薬はかんたんです。

利尿薬である

  • スピロノラクトン
  • カンレノ酸K
  • エプレレノン

です。

尿細管のアルドステロン受容体で競合的に拮抗することで作用を発現します。

 

合成阻害薬

メチラポントリスタンの2つを理解しましょう。

それぞれ阻害する部分は

  • トリスタン→3βヒドロキシステロイド脱水素酵素阻害
  • メチラポン→11β水酸化酵素

です。

これらの酵素を阻害することでヒドロコルチゾンとアルデステロンの合成を阻害します。

トリスタンはアルデステロン症やクッシング症候群の治療に使われます。

一方メチラポンは、クッシング症候群の治療とACTH分泌予測(検査薬)としても使用されます。

例えばクッシング病の場合はメチラポンによりネガティブ・フィードバックが解除され、もともと過剰に産生していたACTHが更に過剰分泌されます。

 一方、副腎皮質腺腫では無反応です。コルチゾールの慢性的な分泌亢進で負のフィードバックが続き下垂体の機能が低下しているためです。

 

構造

 天然の糖質コルチコイドには鉱質コルチコイドの作用もあるので高血圧や浮腫などの副作用がでます。

そのため糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドの作用のバランスを意図的に変えて作ったものが合成糖質コルチコイドになります。

 

まず11β-OH糖質コルチコイドの発現に必須です。

  • A環に2重結合が2つ糖質↑ 鉱質↓
  • 9α位にF→糖質↑
  • 16位のメチル化、OH化→鉱質↓

このあたりは知識として持っていると構造の問題が出てきたときのヒントになります。

構造を見ればわかりますが天然品であるヒドロコルチゾンはA環に2重結合はありません。そこでまず合成品と見分けられます。

更にプレドニゾロンは合成品ですがFを持たないのが特徴です。化学療法などの制吐剤としてよく使用されているものなので国試でも比較的出やすいと思います。それ以外の合成ステロイドはFが入っているのが特徴です。

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