はじめに
今回はA,B,C型肝炎ウイルスを扱います。A,E型肝炎はただの風邪のようなものなので、メインどころはB,C型肝炎になります。
最近、新しい薬がたくさん出てるホットな分野です。
勉強のポイントは、
- 感染経路
- ウイルスマーカーの出現する順番と意味
- B,C型肝炎の治療薬
を理解することです。
肝炎ウイルスはウイルス自体が肝臓を攻撃するわけではありません。ウイルスに感染した細胞を排除しようと自分の免疫(T細胞など)が殺し、炎症が起きます。
それではABC型肝炎ウイルスをそれぞれポイントに注意してみていきましょう。
A型肝炎
感染経路
経口感染です。風邪のような症状なのでほっといても問題ありません。
ウイルスマーカー
まずIgM型のHA抗体→その後IgG型のHA抗体ができます。
IgG型のHA抗体は、A型肝炎ウイルスの中和抗体です。「IgG型HA抗体か陽性」=「完治」です。
血液検査でIgG型のHA抗体しかない時は過去に感染したんだなってことがわかります。
B型肝炎
感染経路
非経口感染です。性行為や垂直感染(分娩時)で感染します。最近は、B型肝炎の母親から生まれてきた赤ちゃんにワクチンを接種し予防しているので垂直感染は少なくなっています。
(誰にワクチン打つかたまに聞かれます。)
基本的には自然治癒するのですが、劇症化する確率が高いので注意が必要です。(劇症化率1%)
B型肝炎ウイルスだけがDNAウイルスです。他の肝炎はRNAウイルスです。(B型肝炎ウイルスの学名はヘパドナウイルス。ヘパは肝臓、ドナはDNAのローマ字読みです。)
ウイルスマーカー
B型肝炎ウイルスが出す抗原が3種類、それに対する抗体を体は3種類作ります。
抗原はHBs抗原→HBe抗原→HBc抗原
抗原が出終わってから抗体が出ます
HBc抗体→HBe抗体→HBs抗体
覚え方は、ABC順の逆から始まって抗体で戻ってくるイメージです。抗原→抗体で戻ってきて完治です。
薬
ゴロ:武人が炎天下で滅びる
武人=ラミブジン、炎天下=エンテカビル、滅びる=アデホビル
ラミブジンはHIV治療薬でも出て来ます。
C型肝炎
C型肝炎は8割が慢性化し肝硬変、さらには肝臓ガンの原因になります。その理由は、HCVの中和抗体が弱いためウイルスを倒しきれないからです。新しい薬がたくさん出て来ている分野です。
では歴史を追いつつ薬をみていきましょう。
IFNと併用
まずインターフェロン(IFN)製剤です。IFNは抗ウイルス作用のあるタンパク質で、免疫細胞に感染細胞の存在を知らせ免疫を強めています。それを外から補充するのがIFN製剤です。
しかし、体の作るHCVの中和抗体自体がそんなに強くないため、効果不十分です。なのでリバビリンを併用して治療します。これがリバビリン・IFN併用療法です。
さらにプラスでシメプレビルかソラプレビルを併用することもあります。
まとめると、IFNを使うのは
- IFN+リバビリン
- IFN+リバビリン+ソラプレビル
- IFN+リバビリン+シメプレビル
この3つの組み合わせになります。
IFNは間質性肺炎やうつ症状、遺伝子型で効果が違うなど問題があるのであまり使いたくないことも多い薬です。
今はIFN不要の薬が出ています。
IFN不要な薬
ハーボニーという薬は聞いたことがあるのではないでしょうか。効果も値段も高い薬です。
C型肝炎が完治する薬で、完治するまでにかかる医療費がベンツ1台買えるくらいです。(1錠8万円くらい)
ハーボニー=ソホスフビル+レジパスビル
の合剤です。