図で覚えるのがキモ!
私が勉強を始めた頃、てんかん薬ってわかりづらいなぁと感じていました。
それは、
- 規則性がない薬名
- 作用機序がいろいろ
- 適応のある発作の種類との対応関係
を覚えないといけないため、ごちゃごちゃになってしまうからです。
最終目標
最終的には下の絵を自分でかけるようになることが目標です。1~3のステップに分けて勉強していきましょう。
覚える順番、3ステップ
- 神経と受容体の位置関係
- 薬の作用点と薬名
- 適応の発作
1と2で、薬と神経の位置関係を図で覚えてしまえば、発作の適応もある程度まとめて覚えることができます。
1.てんかん薬の作用点
まずは枠組みを描けるようになりましょう。
大枠は、神経2本(抑制系と興奮性)と脳細胞側のチャネル3つです。
開く <抑制系神経>
抑制系の神経はGABAを放出します。
GABAが脳細胞を抑制するのでたくさん欲しいのですが、 神経細胞がGABAを再取り込みする機構があり、そこも作用点になります。
開く <興奮系神経>
興奮性の神経はグルタミン酸を放出し脳細胞を興奮させます。
興奮性神経を止める作用点は2つあります。
・1つは神経内の小胞に貯められたグルタミン酸を出なくすること、
・もう1つは神経側のCaチャネルを止めることです。
2.作用点と薬名の組み合わせ
脳細胞側
いきなり全ては覚えられないので、全体図の下部(脳細胞側)のチャネルに効く薬から見てみましょう。
開く <Clチャネルを刺激する薬>
Clチャネルを刺激し、脳の活動を抑える薬は
BZ系です。
催眠薬で使うのでイメージはつきやすいですね。
フェノバルビタールの作用機序の一つもClチャネルを刺激します。
開く <Naチャネルをブロックする薬>
Naチャネル(真ん中のチャネル)を抑える薬は
「フ」が付くと覚えましょう
フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、カルバマゼピン
カルバマゼピンは「カ」の部分に「フ」が隠れてます。
ちなみに、フェノバルビタールはCl チャネルとNaチャネルの両方を抑えます。
開く <Ca チャネルをブロックする薬>
エトスクシミドと
トリメタジオンです。
欠神発作のみを抑える薬はこの二つだけなので、覚えやすいです。
例外にフェニル尿素系の薬があります。欠神発作にも使えますが副作用も多いです。フェニル尿素系は多剤無効で使う最後の切り札です。
図上の神経に効く薬
では次に上側(神経)に効く4つの薬を見ていきましょう。
①ガバペンチン
開く
興奮性のCaチャネルをブロックしして脳の興奮を止めます。
(脳細胞側のCaチャネルと区別するため、電気依存性Caチャネルと呼びます。)
しかし、抑制系のGABA再取り込みを活性化してしまい、脳の抑制に働くGABAが減ってしまうのがたまに傷です。
②バルプロ酸
開く
ガバペンチンとは逆にバルプロ酸はGABA再取り込みを抑えて脳の活動を抑えます。
また、それ以外にも様々な作用があるマルチな薬のイメージを持ってください。全ての発作に使えます。
NaチャネルやCaチャネルもブロックし脳の興奮を抑えます
③レベチラセタム
開く
興奮性神経のグルタミン酸の小胞に働きます。
この小胞にはSV受容体というグルタミン酸の出口があるので、そこを止めてグルタミンを出られなくします。
④スルチアムは脳の脱炭酸酵素を阻害し興奮を抑えるようです。
開く
作用点的に、その他として扱いましょう。 3.適応の発作
3つ+その他にクラス分けします。
①全ての発作に効く薬
紫色で囲った薬が全ての発作に効きます。
図の場所で覚えましょう。
②強直間体、部分発作に効く薬
赤で囲った薬です。「フ」が付く系の薬が該当します。
レベチラセタムも場所は違いますがここに入ります。
③欠神発作に効く薬
エトスクシミドとトリメタジオンです。脳細胞側のCaチャネルの遮断薬と同じなので覚えやすいですね。
④その他
あとはその他の薬として覚える。
・部分発作のみ:
スルチアム、ガバペンチン、トピラマート*
*トピラマートの作用機序はNaチャネル遮断など複数あるので余裕の有る方は追加で覚えてください。