勉強のポイント
アルツハイマーは、原因がはっきりとわかっている病気ではありません。
そのため、薬も対処療法です。
病態は病態、薬理は薬理で勉強していくといいでしょう。
病態
脳全体が萎縮
アルツハイマーでは脳が萎縮します。
図では白い部分が増えて、黒い部分が減っています。
記憶を扱う海馬もダメージを受けるので記憶障害が起こります。
脳細胞
脳細胞を見て見ましょう。
•老人斑
アルツハイマーでは老人斑というものが神経細胞の周囲にできます。
その主成分はアミロイドβタンパクです。
•神経細胞の繊維化
細胞内にリン酸タウタンパクという成分が蓄積しダメージを与え、神経細胞を繊維化します。
症状
症状は、中核症状と周辺症状に分類されます。
また、パーキンソンと違い、認知機能が落ちてから運動症状が出ます。
中核症状
中核症状は脳萎縮に伴って起こる症状です。
物忘れや失見当識(私は誰?)などが当てはまります。
周辺症状
周辺症状は、中核症状により起きる症状で、
心理的(妄想、せん妄)、行動(徘徊、失禁など)があります。
アルツハイマー薬の作用機序
作用点
アルツハイマー患者を調べてみると、
•アセチルコリン(ACh)の濃度が低いこと
•興奮系のNMDA受容体が刺激され過ぎていること
がわかりました。
対処療法的に、薬の作用点は上のの2点です。
AChを増やす薬
副交感神経のところで勉強したように
刺激するには直接刺激かコリンエステラーゼ阻害があります。
アルツハイマーに効くのはコリンエステラーゼ阻害薬です。
放出されたAChは、コリンエステラーゼ(ChE)という酵素により分解されてしまいます。
ChEを阻害すればAChは増えます。
ChEの種類は2種あります。
- 真性ChE (アセチルコリンエステラーゼ)
- 偽性ChE(ブチルコリンエステラーゼ)です。
ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン
ドネペジルとガランタミンは真性ChEのみを阻害します。
また、ガランタミンはニコチン性ACh受容体を刺激する作用もあります。
リバスチグミンは真性/偽性の両方のChEを阻害します。
NMDA受容体遮断薬 メマンチン
アルツハイマー患者の脳では異常なタンパクにより、グルタミン酸が多量に放出されています。
グルタミン酸はNMDA受容体を刺激し続け、記憶することができなくなります。
NMDA受容体を遮断することで記憶定着を改善します。