肝硬変のポイント
症状と治療の一対一の組み合わせで勉強していくとわかりやすいです。
そのためにまずは肝硬変で起きる症状についてみていきましょう。
症状
肝硬変はHCVなどの原因で、炎症→壊死→再生によって肝臓が線維化してうまく機能しない状態です。
症状は、
- 肝細胞の障害で引き起こされるものと
- その結果引き起こされる門脈圧の圧力upによる症状に分けて考えます。
肝細胞障害
肝臓の機能を思い出してみましょう。
主な機能は
- 生体内物質の合成機能
コレステロール、タンパク質の合成 - 異化機能
アンモニアの解毒など - 逸脱(排泄)
ビリルビンなどの排泄
これらの機能が阻害されるので、
- 合成能低下
低Cho血症
低Alb血症→浸透圧↓→浮腫
血液凝固因子枯渇→出血傾向 - 高アンモニア血症→肝性脳症
- 高ビリルビン血症→黄丹
といった症状が出てきます。
門脈圧亢進
小腸から吸収された栄養は、全て門脈に集められ肝臓を通ってから全身に送られます。
しかし肝臓が線維化すると、門脈から肝臓へ血液が流れ込めなくなります。そこで身体は肝臓を通らないバイパスを色んな所に作り栄養を全身に送っていきます。
門脈圧が高まると、
- 食道静脈瘤の形成→破裂→出血
- 脾臓に圧力かかり血球破壊
- 圧力↑→水逃げる→腹水、浮腫↑
→血流量↓→レニン↑→アルドステロン→高血圧
このような一連の症状が出ます。
評価はChild-Pugh分類で
肝硬変では上記であげた症状が出やすいです。その症状や検査値などの5項目を使って肝硬変の重症度をランク分けしているのがこのChild-Pugh分類です。
国試では肝硬変の重症度を測るのがChild-Pugh分類だと名前がわかっていればいいです。
卒試レベルではたまに聞かれるので触れておきます。症状から想像して、5項目に入ってそうだなと選択肢をみたらわかるレベルでOKです。
- INR(←出血傾向)
- 肝性脳症(←アンモニアの解毒)
- ビリルビン、アルブミン(←合成能低下)
- 腹水(←浸透圧低下、門脈圧亢進)
治療
薬物療法と食事療法の側面から見ていきましょう。
食事療法
通常時は高タンパク食で肝細胞の自己再生を助けます。
しかし、肝性脳症を起こしているときは、タンパク質代謝によりアンモニアが生成されてしまうため低タンパク食を摂取します。
薬物療法(肝性脳症に)
アンモニア生成抑制
- ラクツロース
ラクツロースは浸透圧を高めるため下剤でも出てきましたね。
今回は、腸内細菌により分解されてできた乳酸が、
・腸内pH↓→NH₃産生菌↓
・NH₃イオン化→吸収↓
この2つの作用でアンモニア生成と吸収を抑えます。 - 抗菌薬
カナマイシンを使い、アンモニアの産生菌を殺菌します。
フィッシャー比の立て直し
フィッシャー比とは
フィッシャー比=BCAA/芳香族アミノ酸
(※BCAAは分岐鎖アミノ酸)
で表される血中のアミノ酸濃度の比です。
肝性脳症のときは、フィッシャー比が低くなっており、このバランスを直すと肝性脳症が改善します。血中のBCAAを投与してフィッシャー比を上げます。