こんな疑問にお答えします。
この記事では前立腺肥大症と比較しながら病態を解説します。
記事を読み終えれば、前立腺がんがきっと得意分野になるはずですよ!
前立腺がんの病態
前立腺がんは前立腺の辺縁領域(外腺)に好発する上皮性悪性腫瘍です。
ほとんどが腺癌です。
男性ホルモン(アンドロゲン)依存性に増殖します。
50歳以上の男性に多く見られ、人種差があり日本人は少ないです(黒人>白人>黄色人種)
よく「前立施肥大症から前立腺がんになるのでは?」
と考えがちですが、ほとんどありません。
症状
症状は初期は無症状です。
進行して尿道や膀胱などへ浸潤すると前立腺肥大症のような排尿困難や血尿を生じます。
更に進行すると転移します。
前立腺がんや乳がんなどのホルモン依存性のがんは骨転移しやすいです。
前立腺肥大症との違い
前立腺がんと前立腺肥大症はよく比較されて問われるのでおさえましょう!
前立腺肥大症がよくわからない方はこちらを参照してください。
病変部位
病変部位は
- 前立腺がんは外線部分
- 前立腺肥大症は内腺
という違いがあります。
前立腺肥大症は尿道近くに腫瘍ができるため尿道が圧迫され排尿障害が起こります。
逆に前立腺がんは尿道から少し離れた場所にあるので初期は無症状です。
血液検査
前立腺がんのマーカーには
- PSA:前立腺特異抗原
- PAP:前立腺酸性ホスファターゼ
という2つの指標があります。
覚え方は
パパ(PAPA)前立腺 です。
前立腺がんと前立腺肥大症どちらもマーカーは上昇します。
PSAもPAPも上昇率は
前立腺がん>前立腺肥大症
です。
直腸内触診
直腸内触診では
- 前立腺がん:表面がゴツゴツ
- 前立腺肥大症:表面がなめらか
という違いがあります。
薬物治療
前立腺がんの初期では全摘出が第一選択です。
転移がある場合や、根治的治療ができない場合などに薬物治療がされます。
リュープロレリン
リュープロレリンはLH-RH(GnRH)受容体を持続的に刺激します。
下垂体が持続的な刺激によりLHRHに反応しなくなります。これをダウンレギュレーションと言います。
下垂体の反応が悪くなるので結果、精巣からのアンドロゲン分泌が低下します。
ダウンレギュレーションが起こるまでの初期は一過性に血中のテストステロンは上昇します。
これをフレアアップと言います。
アンドロゲン受容体遮断薬
前立腺でアンドロゲン受容体との結合を阻害します。
アンドロゲン受容体遮断薬は
- フルタミド
- ビカルタミド
~タミドが付きます。
クロルマジノン
クロルマジノンは黄体ホルモン製剤ですが、抗アンドロゲン作用を持ちます。
前立せん細胞へテストステロンが取り込まれるのを阻害します。
クロルマジノンは前立せん肥大症にも適応があります。
エチニルエストラジオール
エチニルエストラジオールは卵胞ホルモン製剤です。ネガティブ・フィードバックを利用してテストステロンの分泌を抑制します。
まとめ
ポイント
- 前立せんがんは男性ホルモン依存性に増殖する。
- 前立腺がんは前立腺肥大症との違いを理解する。
- 薬物治療はホルモンの動きを理解する。
男性ホルモン関連薬が苦手な人はこちらを確認しましょう!
ゴロで整理して効率的に学びましょう。