保健統計

母子保健の死亡統計|死産・周産期・新生児・乳児・妊産婦【薬剤師国家試験】

死亡統計のマインドマップ
死亡統計のマインドマップ

衛生の保健統計で、いちばん取りこぼしが多いのがここです。乳児・新生児・早期新生児・周産期・死産・妊産婦。6つの言葉が、妊娠から1歳までの一本の時間軸の上に重なって並んでいます。

バラバラに暗記しようとすると必ず崩れます。時間軸の図を1枚、頭に焼き付けてください。 そのうえで「各死亡率の分母は何か」を確認する。この順番なら、周産期死亡率の厄介な分母まで含めて理解できます。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。衛生の講義はYouTubeで全編無料公開しているので、読むより耳から流し込みたい人はそちらもどうぞ。

まず時間軸を1枚で

母子保健の時間軸
母子保健の時間軸

左から、妊娠 → 妊娠12週 → 妊娠22週 → 出生 → 出後1週 → 出後4週 → 出後42日 → 1年。この目盛りの上に、6つの用語が乗っています。

用語 期間 覚えどころ
死産 妊娠満12週以後、出生までの死児の出産 12週 = 4 × 3(図の注)
早期新生児 出生後1週(7日)未満 いちばん短い
新生児 出生後4週(28日)未満 早期新生児を含む
乳児 出生後1年未満 新生児を含む
周産期 妊娠22週以後 〜 出生後1週未満 「お産の周りの期間」。出生をまたぐ
妊産婦 妊娠中 〜 出産後42日(6週) 唯一、母親のほうの期間

ここで最初のポイントです。乳児・新生児・早期新生児は入れ子になっています。 早期新生児 ⊂ 新生児 ⊂ 乳児。だから乳児死亡率がいちばん大きく、早期新生児死亡率がいちばん小さくなります。

2つめのポイントは、周産期だけが出生をまたぐこと。周産期は「お産の周り」なので、生まれる前(妊娠22週以後)と生まれた後(1週未満)の両方を含みます。だからこの指標だけ、あとで見るように分母が特殊になります。

3つめのポイントは、妊産婦だけが母親の話だということ。ほかの5つは赤ちゃんの話です。ここを混ぜないでください。

乳児・新生児・早期新生児死亡率 ― 分母はすべて「年間出生数」

乳児死亡率・新生児死亡率・早期新生児死亡率の式
乳児死亡率・新生児死亡率・早期新生児死亡率の式
  • 乳児死亡率 = 乳児死亡数 ÷ 年間出生数 × 1000
  • 新生児死亡率 = 新生児死亡数 ÷ 年間出生数 × 1000
  • 早期新生児死亡率 = 早期新生児死亡数 ÷ 年間出生数 × 1000

3つとも分母は年間出生数、単位は出生千対です。分子が入れ子になっているだけで、式の形は同じ。ここはまとめて覚えられます。

令和7(2025)年(概数)は、乳児死亡率1.9、新生児死亡率0.9(いずれも出生千対)。乳児死亡率は「千人に2人くらい」と覚えておけば十分です。

乳児死亡率は、その国の衛生水準・医療水準を反映する指標としてよく使われます。日本の乳児死亡率は世界最低水準です。

周産期死亡率 ― ここだけ分母が違う

周産期死亡率の式
周産期死亡率の式

周産期死亡率 = (22週以降死産数 + 早期新生児死亡数) ÷ (年間出生数 + 22週以降死産数) × 1000

この単元で最重要の式です。講義でも「ここがちょっと面倒くさくて」と前置きされています。

分子は素直です。周産期に亡くなった子、すなわち22週以降の死産と早期新生児死亡の合計。

問題は分母です。出生数だけでなく、22週以降の死産数も足します。 なぜかというと、分子に22週以降の死産が入っているからです。分子に数えたものは分母にも入っていないと、割合として筋が通りません。

ここで注意してほしいのが、死産の定義は12週以後なのに、周産期死亡率に使うのは22週以後の死産だけだということ。12週と22週の使い分けが、そのまま出題ポイントになります。

  • 死産の定義 … 妊娠満12週以後
  • 周産期死亡に含める死産 … 妊娠満22週以後

令和7年(概数)の周産期死亡率は3.4(出産千対)でした。

死産率と妊産婦死亡率 ― 分母は「出産数」

死産率の式
死産率の式

死産率 = 死産数 ÷ 出産(出生 + 死産)数 × 1000

妊産婦死亡率の式
妊産婦死亡率の式

妊産婦死亡率 = 妊産婦死亡数 ÷ 出産(出生 + 死産)数 × 10万

この2つの分母は「出産数」= 出生数 + 死産数です。乳児死亡率の分母(出生数)とは違うので、ここも混ぜないでください。

そして妊産婦死亡率だけ、掛ける数が10万です。理由は単純で、妊産婦死亡は年間数十人と非常に少ないから。千倍では小数点以下になってしまうので、10万倍します。「数が少ないから10万」と理由込みで覚えてください。

令和7年(概数)の死産率は22.3(出産千対)でした。なお妊娠22週以後の死産率は令和6年で2.6です。

分母で整理すると全部つながる

まとめると、分母は3種類しかありません。

分母 使う指標 掛ける数
年間出生数 乳児死亡率、新生児死亡率、早期新生児死亡率 ×1000
出生数 + 22週以降死産数 周産期死亡率 ×1000
出産数(出生 + 死産) 死産率、妊産婦死亡率 ×1000、妊産婦のみ×10万

「分母は何か」だけ聞かれる問題がしばしば出ます。この表がそのまま答えになります。

国試ではこう問われる

回 問われ方 ポイント
第98回・問18 人口動態統計における「死産」の定義 妊娠満12週以後の死児の出産。選択肢には1週・4週・28週・35週が並ぶ
第99回・問◯(必須) 指標名を選ばせる中に周産期死亡率が登場 定義と分母を問う形

死産の定義は必須問題の定番です。12週(=4×3か月)と22週(周産期の入口)と28週(かつての死産の定義)が選択肢に混ざるので、12週と即答できるようにしておいてください。

まとめ

  • 時間軸は妊娠 → 12週 → 22週 → 出生 → 1週 → 4週 → 42日 → 1年
  • 死産は妊娠満12週以後。周産期は22週以後〜出生後1週未満で、出生をまたぐ
  • 早期新生児(1週) ⊂ 新生児(4週) ⊂ 乳児(1年)。3つとも分母は年間出生数
  • 周産期死亡率の分母は「出生数 + 22週以降死産数」。分子に死産が入っているから分母にも入る
  • 死産率・妊産婦死亡率の分母は「出産数(出生+死産)」。妊産婦死亡率だけ×10万
  • 妊産婦だけが母親側の指標。出産後42日(6週)まで

次は死因統計の推移まとめ|死因順位・部位別がん・心疾患と脳血管疾患・年齢階級別を読んでみてください。

動画で学びたい人へ

この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。

衛生を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、衛生という科目のほんの一区画です。実際には、保健統計・疫学から疾病の予防、食品衛生、化学物質の毒性、生活環境までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

衛生は覚えることが多い科目ですが、数字や分類を単体で暗記しようとすると、似たものどうしが混ざって崩れます。「この物質がどの分類に入って、どの法律で規制されているのか」が地図として見えていると、覚える量そのものが減ります。

衛生のマインドマップ(¥3,500)は、その全体像を1枚に収めたPDFです。地図をたどりながら話す講義動画はYouTubeで全編無料公開しているので、この進め方が自分に合うかどうかは先に確かめられます。

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