水環境

残留塩素・塩化物イオン・硬度の測定法|DPD法・モール法・EBT法【薬剤師国家試験】

水質基準のマインドマップ
水質基準のマインドマップ

水質基準の試験法の続きです。今回は残留塩素・塩化物イオン・硬度の3つを扱います。

このうちDPD法は、「結合残留塩素は直接測定できない」という一点を理解しているかが問われる、ちょっと頭を使う問題になりやすいところです。ここがこの記事の山場です。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。衛生の講義はYouTubeで全編無料公開しているので、読むより耳から流し込みたい人はそちらもどうぞ。

残留塩素:DPD法

まず前提の確認です。遊離残留塩素と結合残留塩素の記事で見たとおり、給水栓における水は遊離残留塩素0.1mg/L以上、結合残留塩素の場合は0.4mg/L以上を保持していなければなりません。なお残留塩素は水質基準ではなく管理目標のほうに入っています。

測定上の注意として、残留塩素は分解しやすいのですぐに測定するという点も押さえておいてください。

引き算で求める、というのがミソ

DPD法のしくみ
DPD法のしくみ

DPD法のポイントはここです。

結合残留塩素は、直接測定することができません。

では、どうやって0.4mg/Lという基準を確認するのか。答えは引き算です。手順は2段階になります。

ステップ1:検水にDPDを加える

DPDは遊離残留塩素とだけ反応します。反応すると赤くなるので、その濃度を測れば遊離残留塩素の濃度が分かります。

ステップ2:さらにヨウ化カリウム(KI)を加える

KIを加えると、遊離残留塩素と結合残留塩素の両方が反応します。こちらも赤色になり、その濃度が全残留塩素の濃度になります。

ステップ3:引き算する

全残留塩素 − 遊離残留塩素 = 結合残留塩素

これで、直接測れないはずの結合残留塩素の濃度が出ます。

「DPDで遊離だけ、KIを足すと全部」「全−遊=結合」——この2行が書ければ、この項目の問題は解けます。

塩化物イオン:モール法

塩化物イオン(Cl⁻)は200mg/L以下が水質基準です(語呂の「にっこり」)。

  • 味の面ではしょっぱさのもとになる
  • 海水や尿が混じっても値が上がるため、し尿汚染・下水の指標としても使われる
  • 測定法はモール法。別名硝酸銀滴定法

「モール法=硝酸銀滴定法」という別名は、そのまま問われることがあるので一緒に覚えておいてください。

硬度:EBT法

硬度とは何を測っているのか

硬度とは、水道水中のCa²⁺とMg²⁺の量を、炭酸カルシウム(CaCO₃)の量に換算して表したものです。基準値は300mg/L以下(語呂の「降参」)。

硬度が高い水は、洗剤が泡立ちにくいという性質があります。ヨーロッパに旅行したとき、日本から持っていった洗剤が泡立たないといった経験談が出てくるのは、水の硬度が違うためです。

硬度の3つの種類

種類 定義
一時硬度 煮沸で沈殿する炭酸水素カルシウムなどのCaやMgの量を、等モルのCaCO₃のmg/Lで表した量
永久硬度 煮沸で沈殿しない硫酸カルシウムなどを、CaCO₃に換算した量
総硬度 一時硬度 + 永久硬度

分け目は煮沸で沈殿するかどうかの一点です。煮沸すれば消えてくれる(=一時的な)のが一時硬度、煮沸しても残る(=永久の)のが永久硬度。名前のとおりなので、ここは素直に覚えられます。

EBT法:色の変化で終点を見る

EBT法のしくみ
EBT法のしくみ

硬度の測定は、金属(CaとMg)をキレートして行います。流れは次のとおりです。

  1. 試料中のCaやMgにEBT(青色の指示薬)を加えると、ブドウ赤色の錯体ができる
  2. そこにEDTAを加えていくと、EDTAのほうがCa・Mgと強く錯体を作るので、EBTが解放される
  3. EBTが遊離すると青色に戻るので、青色が出たところが滴定の終点

「ブドウ赤色 → EDTAを滴下 → 青色になったら終了」という色の変化で覚えるのが一番早いです。EDTAがCa・Mgを奪い取るからEBTが自由になる、という主役交代のイメージを持っておくと、どちらの色がどちらか迷いません。

3つの試験法を並べて確認する

測定対象 試験法 ポイント
残留塩素 DPD法 結合残留塩素は直接測れない。全−遊=結合
塩化物イオン モール法(硝酸銀滴定法) 200mg/L以下。し尿汚染・下水の指標にもなる
硬度 EBT法 Ca・MgをCaCO₃換算。EDTA滴定でブドウ赤色→青色が終点

まとめ

  • 残留塩素は管理目標の項目で、遊離0.1mg/L以上・結合0.4mg/L以上。分解しやすいのですぐに測定する
  • DPD法では、DPDで遊離残留塩素、KIを加えて全残留塩素を測り、全−遊=結合残留塩素として求める。結合残留塩素は直接測定できない
  • 塩化物イオンはモール法(硝酸銀滴定法)で測定、200mg/L以下。海水や尿でも上がるためし尿汚染・下水の指標になる
  • 硬度はCa²⁺・Mg²⁺をCaCO₃に換算した量で300mg/L以下。一時硬度(煮沸で沈殿する)+永久硬度(煮沸で沈殿しない)=総硬度
  • EBT法はキレート滴定。ブドウ赤色錯体 → EDTA滴定 → 青色が出たら終点

ここまでで上水(飲む水)の話は終わりです。次は流す水、下水処理に進みます。

次は下水処理|下水の定義と浮遊生物法・生物膜法の違いを読んでみてください。

動画で学びたい人へ

この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。

衛生を、1枚の地図として頭に入れませんか

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