水環境

地下水と地表水の違い|水道原水の種類と水道普及率【薬剤師国家試験】

水環境のマインドマップ
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衛生の「生活環境と健康」に入っていきます。最初のテーマは水環境です。ここは、蛇口から出てくる水道水が「どこから来て」「どう処理されて」「何を基準にしているか」を順番に追いかける単元で、上水(飲む水)→下水(流す水)→水質汚濁(自然の水)という流れでできています。

その一番手前、出発点にあたるのが今回の「原水」です。原水というのは、水道水になる前の、まだ処理されていない水のこと。この原水が地下から来たのか地表から来たのかで、水質の性質がまるごと変わります。そして次の記事で扱う浄水処理の方法も、この原水の質で選び分けることになるので、ここを押さえておくと後がとても楽になります。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。衛生の講義はYouTubeで全編無料公開しているので、読むより耳から流し込みたい人はそちらもどうぞ。

水道の原水は「地下水系」と「地表水系」の2つ

水道水の原水は、大きく2つの系統に分けられます。

地下水系(利用率およそ25%)

  • 水質が良いのが特徴
  • 伏流水:岩盤などの不透水層の上を流れる水
  • 井戸水:深井戸、浅井戸など

地表水系(利用率およそ75%)

  • ダム、河川、湖沼など
  • 日本の水道原水の主役はこちら

まず「地表水が4分の3、地下水が4分の1」という比率を頭に入れてください。日本は山が多く川が短いぶん、ダムや河川から取水している割合が圧倒的に大きい、と考えるとイメージしやすいと思います。

そして、比率と並んで大事なのが「地下水のほうが水質が良い」という点です。地面という巨大なフィルターを通ってきた水なので当然といえば当然なのですが、これが次に出てくる浄水処理の選択に直結します。

地表水と地下水を6つの項目で比べる

地表水と地下水の比較表
地表水と地下水の比較表

国試で問われるのは、この2つの「対比」です。丸暗記しようとすると混ざるので、「地表にあるか、地中にあるか」から素直に考えてみてください。

項目 地表水 地下水
溶存酸素 多い 少ない
自浄作用 受けやすい 受けにくい
細菌汚染 多い 少ない
無機物/有機物 有機物が多い 無機物(Mg、Ca)が多い
硬度 軟水 硬水
遊離炭酸 少ない 多い

地表水が「溶存酸素が多い→自浄作用を受けやすい」理由

地表を流れる水は空気に触れているので、酸素がよく溶け込みます。酸素があるということは、水の中の微生物が好気的に有機物を分解できるということ。これが自浄作用です。つまり「溶存酸素が多い」と「自浄作用を受けやすい」はセットで、片方を思い出せればもう片方も出てきます。

地表水が「細菌汚染が多い・有機物が多い」理由

地表はむき出しなので、落ち葉も動物も人の生活排水も入ってきます。だから細菌も有機物も多い。逆に地下水は土と岩盤を通過してくるので、そういったものはほとんど落とされています。

地下水が「硬水・遊離炭酸が多い」理由

地下水は岩盤の中をゆっくり流れてくるので、カルシウムやマグネシウムといったミネラルが溶け出します。だから硬度が高い(硬水)。そして炭酸カルシウムの形で存在しているため、遊離炭酸も地下水のほうが多くなります。

ここまでを一言でまとめると、地表水は「生き物っぽい汚れ(有機物・細菌)が多く、ミネラルは少ない」、地下水は「生き物っぽい汚れは少なく、ミネラルが多い」となります。この一行が入っていれば、6項目は自力で復元できます。

数字で押さえる水道事業

原水の話が終わったら、水道事業そのものの数字を3つだけ押さえます。

上水道の普及率はほぼ100%

実際には98〜99%程度ですが、国試の感覚としては「ほぼ100%」でかまいません。関連して覚えておきたいのが、普及率が80%以上になると赤痢や腸チフスはかなり抑えられるという点です。つまり日本の水道普及率は、衛生環境の面ではとっくに合格ラインを超えています。

下水道の普及率は80%程度

上水道と違って、こちらはまだ100%ではありません。大都市と町村で大きな差があるのがポイントです。汲み取り式のトイレが残っている地域があることを思い浮かべると納得しやすいと思います。「上水はほぼ100%、下水は80%」とセットで覚えてください。

供給量は1人あたり1日300L以上

生活するのに必要な水の量です。飲み水だけでなく、風呂・トイレ・洗濯を全部含めた数字だと考えると、300Lという数量感がつかめます。

まとめ

  • 水道原水は地下水系(約25%)と地表水系(約75%)。日本の主役は地表水
  • 地下水は伏流水(不透水層の上を流れる水)と井戸水(深井戸・浅井戸)
  • 地表水は溶存酸素が多く・自浄作用を受けやすく・細菌汚染も有機物も多い・軟水・遊離炭酸は少ない
  • 地下水はその逆で、無機物(Mg、Ca)が多い硬水で、遊離炭酸が多い
  • 上水道の普及率はほぼ100%、下水道は80%で大都市と町村の差が大きい
  • 供給量は1人1日300L以上、普及率80%以上で赤痢・腸チフスはかなり抑えられる

次は緩速ろ過と急速ろ過の違い|浄水処理の流れを読んでみてください。

動画で学びたい人へ

この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。

衛生を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、衛生という科目のほんの一区画です。実際には、保健統計・疫学から疾病の予防、食品衛生、化学物質の毒性、生活環境までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

衛生は覚えることが多い科目ですが、数字や分類を単体で暗記しようとすると、似たものどうしが混ざって崩れます。「この物質がどの分類に入って、どの法律で規制されているのか」が地図として見えていると、覚える量そのものが減ります。

衛生のマインドマップ(¥3,500)は、その全体像を1枚に収めたPDFです。地図をたどりながら話す講義動画はYouTubeで全編無料公開しているので、この進め方が自分に合うかどうかは先に確かめられます。

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