地球と環境

生態系の構成員と窒素循環|生産者・消費者・分解者【薬剤師国家試験】

地球と環境のマインドマップ
地球と環境のマインドマップ

「地球と環境」という単元は、いきなり地球温暖化やオゾン層から入ると、用語だけが浮いてしまいます。そこで講義では、まず空気の組成を確認して、その空気を生き物がどう回しているかから始めています。

この回で押さえるのは3つです。乾燥大気の組成、生態系の三者(生産者・消費者・分解者)、そして窒素循環。どれも単体では地味ですが、このあとに出てくる酸性雨・オゾン層破壊・地球温暖化は、すべて「この循環を人間が崩している」という話なので、ここが土台になります。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。衛生の講義はYouTubeで全編無料公開しているので、読むより耳から流し込みたい人はそちらもどうぞ。

乾燥大気の組成:二酸化炭素はアルゴンより少ない

まず、私たちが吸っている空気の中身です。

成分 およその割合
窒素 N₂ 約78%
酸素 O₂ 約20%(正確には20.9%)
アルゴン Ar 約1%
二酸化炭素 CO₂ 約0.04%

順番は N₂ > O₂ > Ar > CO₂。

ここで一番大事なのは、二酸化炭素がアルゴンよりもはるかに少ないという点です。温暖化の話で毎日のように名前が出てくるので、CO₂は空気中にたくさんあるような気がしてしまいますが、実際には1%にも届きません。「地球温暖化の主役なのに、量はごくわずか」というギャップは、あとで出てくる地球温暖化係数と寄与度の話にそのままつながります。

生態系の構成員:独立栄養生物か、従属栄養生物か

生態系の構成員(生産者・消費者・分解者)
生態系の構成員(生産者・消費者・分解者)

生態系を構成する生物は、大きく3つに分けます。分け方の軸は「有機物を自分で作れるかどうか」です。

① 生産者 ― 独立栄養生物

太陽の光エネルギーを使って、無機物から有機物を作る生き物です。植物、植物プランクトン、化学合成細菌などがここに入ります。

② 消費者 ― 従属栄養生物

自分では有機物を作れず、生産者が作ったものを食べる側。動物、そして私たちヒトもここです。

③ 分解者 ― 従属栄養生物

消費者の死骸や排泄物といった有機物を、無機物に戻す役目。おもに微生物です。分解者が無機物に戻してくれるから、生産者がまたそれを使える。ここで輪が閉じます。

国試で問われるのは、ほぼ「独立栄養生物はどれか」の一点です。第108回の必須問題で、一次消費者・二次消費者・高次消費者・分解者・生産者の5つから生産者を選ばせる問題が出ています。消費者と分解者はどちらも従属栄養生物なので、独立栄養生物=生産者だけと覚えてしまえば終わりです。

バイオレメディエーション

この「分解者が有機物を無機物に戻す」機能を、人間が汚染物質の処理に使わせてもらうのがバイオレメディエーションです。

定義としては、微生物などの働きを利用して汚染物質を分解し、土壌や地下水などの環境汚染を浄化する技術。実用例としては、下水処理場の活性汚泥法がまさにこれです。

講義では「ナウシカの腐海みたいなもの」と説明しています。人間が汚してしまったものを、微生物が時間をかけて無毒化してくれる、というイメージですね。

窒素循環:空気中の窒素は、そのままでは使えない

窒素循環
窒素循環

大気の約78%は窒素です。ところが植物は空気中のN₂を直接は吸収できません。ここが窒素循環の出発点です。

① 窒素固定:N₂ → NH₄⁺

マメ科植物などと共生している根粒菌が、空気中のN₂をアンモニウムイオン NH₄⁺ に変換します。これが窒素固定です。

押さえどころは「窒素固定といえば根粒菌」。この一対一対応さえ崩れなければ大丈夫です。

② 硝化:NH₄⁺ → NO₃⁻

死骸や排泄物に由来するNH₄⁺は、硝化細菌によって硝酸イオン NO₃⁻ に変えられます。

③ 窒素同化:NH₄⁺・NO₃⁻ → タンパク質

植物はNH₄⁺やNO₃⁻を根から取り込み、タンパク質を合成します。これが窒素同化です。

④ 脱窒:NO₃⁻ → N₂

最後に脱窒菌がNO₃⁻をN₂に戻し、大気へ返します。ここで循環が一周します。

用語が4つ出てきましたが、混同しやすいのは「窒素固定」と「窒素同化」です。

  • 窒素固定 = 空気中のN₂を、生物が使える形(NH₄⁺)に固定する。担い手は根粒菌
  • 窒素同化 = すでにNH₄⁺やNO₃⁻になっているものを、植物がタンパク質に組み込む

「固定」は気体を捕まえる話、「同化」は自分の体の一部にする話、と分けて覚えてください。

なお、このNO₃⁻・NH₄⁺は水環境の単元でも登場します。硝酸態窒素・亜硝酸態窒素・アンモニア態窒素で扱った水質基準の話は、この窒素循環が水の中で起きたものだと考えると、つながりが見えてきます。

国試ではこう問われる

  • 独立栄養生物はどれか → 生産者(第108回・必須)
  • 生物濃縮や食物連鎖と絡めて、生態系の構成要素として出題されることがある
  • 窒素固定の担い手(根粒菌)と、変換の向き(N₂ → NH₄⁺)

数値を細かく問う単元ではありません。組成の順番、三者の区別、窒素固定の担い手、この3つで十分戦えます。

まとめ

  • 乾燥大気は N₂ 約78% > O₂ 約20% > Ar 約1% > CO₂ 約0.04%。CO₂はArより少ない
  • 生産者=独立栄養生物(植物・植物プランクトン・化学合成細菌)。消費者と分解者は従属栄養生物
  • 独立栄養生物はどれか → 生産者。この形でそのまま出題されている
  • バイオレメディエーション=微生物の働きで汚染物質を分解し環境を浄化する技術。実用例は下水処理場の活性汚泥法
  • 窒素固定は根粒菌が N₂ → NH₄⁺。硝化細菌が NH₄⁺ → NO₃⁻、脱窒菌が NO₃⁻ → N₂
  • 窒素固定(気体を使える形にする)と窒素同化(タンパク質に組み込む)を混同しない

次は環境に関する国際条約の覚え方|ロンドン・バーゼル・ワシントン・水俣を読んでみてください。

動画で学びたい人へ

この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。

衛生を、1枚の地図として頭に入れませんか

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