栄養

脂溶性ビタミン「DAKE」の覚え方|A・D・E・Kの作用と欠乏症・過剰症【薬剤師国家試験】

脂溶性ビタミンのマインドマップ
脂溶性ビタミンのマインドマップ

ビタミンは全部で13種類。全部を並べて覚えようとすると必ず崩れます。最初にやるべきことは、脂溶性と水溶性の線を引くことです。

そして、脂溶性のほうはたった4つしかありません。

脂溶性ビタミンは「これDAKE」——D・A・K・E。残りは全部水溶性。

この1本の線が引けると、「過剰症があるのはどっちか」「耐容上限量が設定されているのはどれか」「胎盤を通過するか」といった問題が、まとめて解けるようになります。脂溶性は体に溜まる、水溶性は尿から出ていく。ここが全部の土台です。

この記事では、DAKE の4つについて作用・欠乏症・過剰症を一つずつ整理します。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。衛生の講義はYouTubeで全編無料公開しているので、読むより耳から流し込みたい人はそちらもどうぞ。

「これDAKE」で4つを確定させる

脂溶性ビタミンはこれDAKE
脂溶性ビタミンはこれDAKE

ビタミンD、ビタミンA、ビタミンK、ビタミンE。この4つ「だけ」が脂溶性で、あとは全部水溶性です。

ビタミンの定義も確認しておきます。「微量だが、ヒトや動物の恒常性維持に必須で、体内では合成できない(または十分量を作れない)有機化合物」。「有機化合物」という部分がミネラルとの分かれ目です。

脂溶性であることから、まとめてこう言えます。

  • 脂に溶けて体に蓄積する → 過剰症が問題になる
  • 吸収には胆汁酸とミセル形成が必要 → 胆汁酸の再吸収を阻害する薬(コレスチミドなど)で吸収が落ちる
  • 水溶性ビタミンは尿中に出ていくので、重篤な過剰症は原則として知られていない

第107回では、コレスチミド追加時の服薬指導として「今回追加された薬剤は、脂溶性ビタミンの吸収を低下させる可能性があります」が正しい説明として出ています。脂溶性=胆汁酸依存の一本道です。

ビタミンD:Ca を腸から取り込ませる

活性化のステップが国試の本体です。

ビタミンDの活性化経路
ビタミンDの活性化経路

7-デヒドロコレステロール(プロビタミンD₃) →〔紫外線〕→ コレカルシフェロール(ビタミンD₃) →〔肝臓のCYPで25位が水酸化〕→ 25-ヒドロキシビタミンD →〔腎臓で1位が水酸化〕→ 活性型ビタミンD

「肝臓で25位、腎臓で1位」。この順番が逆になった選択肢が定番です。第105回で「カルシトリオールは、肝臓で25位が水酸化されて活性型に変換される」という誤り選択肢が出ています(カルシトリオールはすでに活性型であり、25位水酸化は前段階)。

生理作用:

核内受容体に結合 → Ca結合タンパクの発現を増やす → 小腸でのCa吸収↑、骨形成↑、腎臓でのCa再吸収↑。

欠乏症・過剰症:

症状
欠乏(小児) くる病(肋骨の変形など)
欠乏(成人) 骨軟化症
過剰 高Ca血症 → Ca排泄負荷↑ → 腎不全

小児=くる病、成人=骨軟化症。同じ原因なのに名前が変わるので、年齢とセットで覚えます。

腎不全が進むと、腎臓での1位水酸化ができなくなり、活性型ビタミンDが作れず、消化管からのCa吸収が低下する——これは第105回でそのまま正しい記述として出ています。

2025年版の更新:「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のビタミンDの目安量が8.5μg/日から9.0μg/日(男女とも)に見直されました。目安量の具体的な数値は改定のたびに動くので、数値そのものを暗記するより「何年版の値か」を意識してください。

ビタミンA:目とレチノイン酸

Rの部分が何かで名前が変わる、という構造の話が先です。

ビタミンAの構造とR基
ビタミンAの構造とR基
R 名前 働き
-CH₂OH レチノール 眼のロドプシン(明暗センサー)の構成成分
-CHO レチナール 同上
-COOH レチノイン酸 核内受容体に結合し、遺伝子の転写を促進

アルコール(オール)→アルデヒド(アール)→カルボン酸(酸)と酸化が進む順に名前が変わるだけです。

摂取のかたち:

βカロテンからビタミンAへ
βカロテンからビタミンAへ
  • レバー … ビタミンAの活性体そのもの
  • 緑黄色野菜 … βカロテン(プロビタミンA)。真ん中で切れて、ビタミンA(レチノール)が2つできる

図で見ると一目瞭然で、βカロテンはレチノールが2つ背中合わせにつながった形をしています。「1分子のβカロテンから2分子のビタミンA」という数字はそのまま問われます。

欠乏症・過剰症:

症状
欠乏 夜盲症(ロドプシンが作れない)
過剰 吐き気、頭蓋内圧亢進、催奇形性

催奇形性は臨床でも効いてきます。妊婦にビタミンAの大量摂取(レバーやサプリ)を勧めない理由がこれです。

特徴:ビタミンAは胎盤を通過する。ビタミンKは通過しない。この対比が次のKの話につながります。

ビタミンK:血を固める側

作用は2つだけ。どちらも「Kに依存するγ-カルボキシル化」の話です。

  • 血液凝固:プロトロンビン(第II因子)などの合成に必要な補酵素
  • 骨形成:オステオカルシンの合成に関与

欠乏症は血液凝固障害。そして臨床で最重要なのが、新生児へのビタミンK投与です。

新生児は腸内細菌叢が未熟でビタミンK₂を作れず、母乳にもK が少ないため、頭蓋内出血(新生児メレナ)の予防としてビタミンK₂シロップが投与されます。ここで効いてくるのが「ビタミンKは胎盤を通過しない」という性質です。母体から分けてもらえないので、生まれてから飲ませるしかない。

K1 と K2 の区別:

ビタミンK1とK2の構造
ビタミンK1とK2の構造
名前 由来
K₁ フィロキノン 植物(緑黄色野菜)。側鎖はフィチル基
K₂ メナキノン 腸内細菌・納豆菌が産生。側鎖の繰り返し数nで区別(n=4は動物組織、n=7は納豆菌)

覚え方はこれです。

フは1画でK1、メは2画でK2
フは1画でK1、メは2画でK2

「フ」は1画 → K₁(フィロキノン)。「メ」は2画 → K₂(メナキノン)。カタカナの画数で番号が出ます。骨粗鬆症の治療に使うのはK₂(メナテトレノン)のほうです。

そしてワルファリンとの相互作用。ワルファリンはビタミンKの働きを阻害して抗凝固作用を出すので、納豆・クロレラ・青汁はビタミンK₂を大量に含むため禁忌。納豆菌は腸の中でもK₂を作り続けるので、一度食べると影響が長く残ります。

ビタミンKだけ耐容上限量が設定されていない——これは次の食事摂取基準の記事で効いてきます。脂溶性なのに上限がない例外として覚えてください。

ビタミンE:膜の中の抗酸化役

ビタミンEの構造
ビタミンEの構造

トコフェロール。構造はクロマン環+イソプレノイド側鎖で、フェノール性のOHが抗酸化作用の本体です。

生理作用は抗酸化作用。細胞の膜の中で活性酸素を除去し、不飽和脂肪酸のラジカル連鎖反応を遮断します。これは後の油脂の変敗(ラジカル連鎖反応)や酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)の記事とまったく同じ仕組みです。「膜の中で連鎖を止める役」として一本でつないでおいてください。

欠乏症は不妊(動物実験に由来)。摂取源はアーモンドなどの種実類、植物油。

表記の注意:マインドマップのノード名が「トコフェノール」になっていますが、正しくは「トコフェロール」です(誤記リストに登録済み)。図のほうは正しく書かれています。

4つを一覧で

主な作用 欠乏症 過剰症
D 小腸でのCa吸収↑、骨形成↑ くる病(小児)、骨軟化症(成人) 高Ca血症 → 腎不全
A ロドプシンの成分、転写促進 夜盲症 頭蓋内圧亢進、催奇形性
K プロトロンビン・オステオカルシンの合成 血液凝固障害(新生児頭蓋内出血) 耐容上限量は設定なし
E 抗酸化(膜内でラジカル連鎖を遮断) 不妊 —

胎盤を通過するのはA、しないのはK。この1行も一緒に。

国試ではこう問われる

回 問われ方 ポイント
第99回・問122 食事摂取基準で耐容上限量が設定されているビタミンはどれか 選択肢はビタミンA・E(脂溶性)とB群・ビオチン・C(水溶性)。ULがあるのは脂溶性の側という線引きがそのまま問われた
第105回・問227 骨代謝に関連するビタミン・ミネラル(2つ) 腎不全で活性型ビタミンD↓ → Ca吸収↓が正しい。「カルシトリオールは肝臓で25位が水酸化されて活性型になる」は誤り
第107回・問208 コレスチミド追加時の服薬指導 脂溶性ビタミンの吸収を低下させる可能性がある
第101回・問286 成分栄養剤使用時の対応 脂溶性ビタミンや不足する微量元素の投与を提案するが正しい

脂溶性ビタミンは、衛生単独よりも「実践問題の中で臨床とセットで」出る傾向があります。胆汁酸・脂肪乳剤・経腸栄養・骨代謝といった文脈を見たら、DAKE を思い出してください。

まとめ

  • 脂溶性ビタミンは「これDAKE」= D・A・K・E。残りは全部水溶性
  • 脂溶性は蓄積するので過剰症が問題、吸収に胆汁酸が要る
  • D:7-デヒドロコレステロール →〔紫外線〕→ D₃ →〔肝で25位〕→〔腎で1位〕→ 活性型。欠乏はくる病(小児)・骨軟化症(成人)、過剰は高Ca血症→腎不全
  • A:レチノール/レチナール/レチノイン酸。βカロテン1分子からビタミンA2分子。欠乏は夜盲症、過剰は頭蓋内圧亢進・催奇形性。胎盤を通過する
  • K:プロトロンビンとオステオカルシン。K₁=フィロキノン(植物)/K₂=メナキノン(腸内細菌・納豆菌)、「フは1画・メは2画」。胎盤を通過しないので新生児に投与。耐容上限量なし
  • E:トコフェロール。膜内でラジカル連鎖反応を遮断する抗酸化作用。欠乏で不妊

次は水溶性ビタミンの覚え方|B群・Cの補酵素としての働きと欠乏症を読んでみてください。

動画で学びたい人へ

この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。

衛生を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、衛生という科目のほんの一区画です。実際には、保健統計・疫学から疾病の予防、食品衛生、化学物質の毒性、生活環境までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

衛生は覚えることが多い科目ですが、数字や分類を単体で暗記しようとすると、似たものどうしが混ざって崩れます。「この物質がどの分類に入って、どの法律で規制されているのか」が地図として見えていると、覚える量そのものが減ります。

衛生のマインドマップ(¥3,500)は、その全体像を1枚に収めたPDFです。地図をたどりながら話す講義動画はYouTubeで全編無料公開しているので、この進め方が自分に合うかどうかは先に確かめられます。

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