薬物動態の解析

血中濃度の式の導出と半減期の求め方|消失速度定数keとln2/ke【薬剤師国家試験】

消失速度定数と半減期のマインドマップ
消失速度定数と半減期のマインドマップ

「C = C₀・e^(−ke・t)」という式を、いきなり暗記しようとしていませんか。

この式、中学生でも知っている「V = k・C」から数ステップで出てきます。導出できるようになると、覚えることがむしろ減ります。半減期の式にいたっては、導出を知っていれば5秒で出せます。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

出発点は「消失速度は濃度に比例する」

消失速度定数ke
消失速度定数ke

前の記事で確認した通り、1-コンパートメントモデルの出発点は次の一文でした。

消失速度は濃度に比例する。

消失していく向きなので、濃度の変化にはマイナスがつきます。比例定数をke(消失速度定数、eはeliminationのe)と書くと、次のようになります。

−dC/dt = ke・C

これが微分方程式の形です。ここから2つの大事な式が出てきます。

血中濃度の式を導く

血中濃度と時間の関係
血中濃度と時間の関係

上の微分方程式を解いていきます。変数を左右に分けて積分します。

ln C = −ke・t + ln C₀

t = 0 のときの濃度をC₀(初期濃度)とすると、積分定数がln C₀になる、という流れです。

この形のまま使ってもいいのですが、指数の形に直すと次のようになります。

C = C₀・e^(−ke・t)

上の式(対数形)と下の式(指数形)、この2つがこれから何度も出てきます。片方からもう片方が作れるようにしておいてください。対数の引き算は割り算になる、というだけの変形です。

グラフで見るとこうなる

片対数グラフの傾きがkeになる
片対数グラフの傾きがkeになる

対数形の式をグラフにしてみましょう。縦軸にln C、横軸にtをとります。

ln C = −ke・t + ln C₀

これはy = ax + bの形そのものです。つまり、

  • 傾き = −ke
  • 切片 = ln C₀

の直線になります。片対数グラフで血中濃度をプロットしたときに直線になり、その傾きからkeが読み取れる。国試でグラフが出てきたら、まずこれを思い出してください。

なお、常用対数(log₁₀)でプロットしている場合は、傾きが−ke/2.303になります。2.303という数字が出てきたら常用対数だと判断してください。

半減期の求め方

半減期の式
半減期の式

半減期(t₁/₂)は、初期濃度が半分になるまでの時間です。定義がそのまま式になります。

先ほどの指数形の式に、「C = C₀/2 のときのt = t₁/₂」を代入するだけです。

C₀/2 = C₀・e^(−ke・t₁/₂)

両辺のC₀は約分できます。残ったものを整理すると、次の式が出てきます。

t₁/₂ = ln2 / ke

半減期とkeの関係
半減期とkeの関係

ln2は約0.693という定数なので、keさえ分かれば半減期は自動的に決まります。逆に半減期が分かればkeも出せます。

導出の手順はたったこれだけです。「半分になるところを代入する」。これを覚えておけば、式そのものを忘れても現場で作り直せます。確実に得点できるタイプの問題になります。

この2つの式で何が解けるか

ここまでで手に入れた道具は3つです。

式 使いどころ
ln C = −ke・t + ln C₀ 片対数グラフの傾きからkeを読む
C = C₀・e^(−ke・t) ある時刻の濃度を求める
t₁/₂ = ln2 / ke 半減期とkeを行き来する

国試の計算問題では、問題文に与えられた値をこの3つのどれかに当てはめる、という形で解いていきます。「何が与えられていて、何を聞かれているか」を確認して、対応する式を選ぶだけです。

まとめ

  • 出発点は−dC/dt = ke・C(消失速度は濃度に比例する)
  • 解くとln C = −ke・t + ln C₀、指数形に直すとC = C₀・e^(−ke・t)
  • 片対数グラフでは傾き = −ke、切片 = ln C₀。常用対数なら傾きは−ke/2.303
  • 半減期は「C₀/2を代入する」だけでt₁/₂ = ln2 / keが出る
  • 式を覚えるより、導出の手順を覚えたほうが結果的に楽

次はクリアランスに進みます。クリアランスの定義式と全身・腎・肝クリアランスの関係へ進んでください。

1-コンパートメントモデルの考え方は1-コンパートメントモデルの考え方と分布容積Vd、この単元全体の地図は薬物動態解析の全体像と勉強の順番で確認できます。

薬剤を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、薬剤という科目のほんの一区画です。実際には、吸収から分布・代謝・排泄、そして製剤設計までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

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