
片対数グラフにプロットしたら、途中で一度カクッと折れて、そこから傾きがゆるやかになった——そんなグラフを見たことはありませんか。
これが2-コンパートメントモデルです。計算問題としてはほとんど出ませんが、グラフの読み取りは頻出です。逆に言えば、読み方さえ押さえれば得点源になります。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
体を2つのビーカーで考える
1-コンパートメントモデルでは、体を1つのビーカーとみなしていました。2-コンパートメントモデルでは、ビーカーを2つに増やします。
- 中心コンパートメント — 血液や血流の豊富な臓器。薬が最初に入る場所で、消失もここから起こる
- 末梢コンパートメント — 血流の少ない組織。中心から分布していく先
薬の動きを追ってみましょう。
- 薬が中心コンパートメントに入る
- 中心から末梢へ分布していく。同時に中心からは消失も起こる
- やがて中心と末梢が平衡になる
- 平衡になったあとは、消失で中心が減るたびに末梢から補充される形になる
この「2段階」が、グラフの形にそのまま現れます。
グラフが2つの相に分かれる
片対数グラフでプロットすると、2つの相が見えます。
分布相(α相)
投与直後の、急激に下がっていく部分です。
この時期は、消失に加えて末梢へ分布していく分も中心から減っていきます。二重に減るので、下がり方が急になります。
消失相(β相)
平衡に達したあとの、ゆるやかに下がる部分です。
もう分布は落ち着いているので、純粋に消失だけで減っていきます。だから傾きがゆるやかになります。
この折れ曲がりが、2-コンパートメントモデルの目印です。1-コンパートメントモデルなら、片対数グラフは最初から最後まで一直線になります。
グラフからαとβを読み取る
読み取りの手順は、経口投与式の残差法とまったく同じ考え方です。
- 消失相(後半の直線)の傾きを測る → β(消失速度定数)が求まる
- その直線を左へ外挿する
- 外挿線から実測値を引いた残差をプロットする → 新しい直線ができる
- その残差直線の傾きが α(分布速度定数)
「後半の直線から1つ目の定数、外挿と残差から2つ目の定数」——この手順は経口投与式のときと共通です。同じ道具を使い回していると理解しておくと、覚える負担が減ります。
常用対数でプロットしている場合、傾きがそれぞれ −β/2.303、−α/2.303 になるのも同じです。
国試での問われ方
2-コンパートメントモデルで問われるのは、ほぼグラフの読み取りに限られます。
- どちらが分布相でどちらが消失相か
- どの傾きからどの定数が求まるか
- 折れ曲がりがあることが何を意味するか
計算そのものは複雑になりすぎるので出題されません。「後半の直線から読むのは消失のほう」という一点を押さえておけば十分です。
まとめ
- 2-コンパートメントモデル = 体を中心コンパートメントと末梢コンパートメントの2つで考える
- 片対数グラフが2段階に折れるのが目印(1-コンパートメントなら一直線)
- 分布相(α相) = 投与直後の急な下降。分布と消失が同時に起きている
- 消失相(β相) = 平衡後のゆるやかな下降。消失のみ
- 読み取りは後半の直線からβ、外挿して残差を取った直線からα
- 計算問題はほぼ出ない。グラフの読み取りに集中してよい
次は非線形コンパートメントモデルです。非線形コンパートメントモデルとミカエリス・メンテン式へ進んでください。
残差法の考え方は経口投与時のCTグラフの読み方と残差法、この単元の地図は薬物動態解析の全体像と勉強の順番で確認できます。
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