薬物動態の解析

バイオアベイラビリティと生物学的同等性|絶対的・相対的・速度的BAの違い【薬剤師国家試験】

バイオアベイラビリティのマインドマップ
バイオアベイラビリティのマインドマップ

「このジェネリックは先発品と生物学的に同等です」——患者さんへの説明で使うこの一言の根拠が、この単元にあります。

バイオアベイラビリティには絶対的・相対的・速度的と3つの呼び名が出てきて混乱しやすいところですが、計算で使うのは絶対的バイオアベイラビリティだけです。残りは言葉の整理と割り切ってください。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

F = Fa × Fg × Fh:3つの関門を通り抜ける

絶対的バイオアベイラビリティの構成
絶対的バイオアベイラビリティの構成

経口投与した薬が体循環に到達するまでには、3つの関門があります。

F = Fa × Fg × Fh

記号 何を表すか どこで失われるか
Fa 吸収された割合 消化管から吸収されずに終わる分
Fg 消化管で代謝されずに残る割合 小腸上皮細胞での代謝
Fh 肝初回通過効果を免れる割合 肝臓での初回通過効果

数字を入れて追ってみましょう。100の薬を飲んだとします。

  1. Fa = 0.9 → 90が吸収される
  2. Fg = 0.7 → 90 × 0.7 = 63が門脈へ
  3. Fh = 0.6 → 63 × 0.6 ≈ 38が体循環へ

したがって F ≈ 0.38(約38%) です。掛け算でどんどん目減りしていくのが分かると思います。

FhとEHの関係

ここで前の記事とつながります。肝臓で抜き取られる割合が肝抽出率EHでしたから、抜き取られずに残る割合がFhです。

Fh = 1 − EH

EH = 0.4 の薬なら Fh = 0.6 です。クリアランスの記事で出てきたEHが、ここでそのまま使われています。

絶対的バイオアベイラビリティの求め方

絶対的BAの計算式
絶対的BAの計算式

国試でよく問われるのは、AUCからFを求める形です。前の記事で導いた2つの式を並べます。

  • 静脈内投与:Div = CLtot × AUCiv
  • 経口投与:F × Dpo = CLtot × AUCpo

下の式を上の式で割ると、CLtotが約分されて消えます。整理すると、

F = (AUCpo / AUCiv) × (Div / Dpo)

「静注と経口で同じ量を投与した場合」であればDiv = Dpoなので、単純にAUCの比だけでFが出ます。投与量が違う場合は補正が必要、と押さえておいてください。

一度例題を解いてしまえば感覚がつかめる式です。

量的BAと速度的BA

ここからは言葉の整理です。バイオアベイラビリティは、見ている観点で2種類に分かれます。

量的バイオアベイラビリティ

どれだけの量が体内に入ったかを見るものです。これはさらに2つに分かれます。

  • 絶対的BA — 静脈内投与を基準にした割合。ここまで扱ってきたFのこと
  • 相対的BA — 標準製剤(先発品など)との比

ジェネリック医薬品の評価で「先発品と比べてどうか」を見るのが相対的BAです。こちらは文言だけ覚えておけば十分です。

速度的バイオアベイラビリティ

速度的BAの評価指標
速度的BAの評価指標

どれだけの速さで入ったかを見るものです。評価には次の2つを使います。

  • Cmax — 最高血中濃度
  • Tmax — 最高血中濃度到達時間

同じ量が入っても、入り方が急なのかゆるやかなのかで効き方は変わります。それを捉えるのが速度的BAです。

生物学的同等性

ここまでの整理が、最後の一言につながります。

生物学的同等性とは、量的BAと速度的BAに統計的な差がないこと。

つまり「入った量も同じ、入った速さも同じ」であれば、生物学的に同等とみなす、ということです。ジェネリック医薬品の承認はこの考え方に基づいています。

量だけ同じでも入り方が違えば同等とは言えない——この2本立てになっている理由が分かると、定義が覚えやすくなります。

まとめ

  • F = Fa × Fg × Fh。吸収・消化管代謝・肝初回通過効果の3つの関門を掛け算で通り抜ける
  • Fh = 1 − EH。肝抽出率EHと表裏の関係
  • 計算式は F = (AUCpo / AUCiv) × (Div / Dpo)。投与量が同じならAUCの比だけでよい
  • 量的BA(どれだけ入ったか)= 絶対的BA + 相対的BA、速度的BA(どれだけ速く入ったか)= CmaxとTmaxで評価
  • 生物学的同等性 = 量的BAと速度的BAに統計的な差がないこと

これで1-コンパートメントモデルの基本パラメータは一通り揃いました。次は点滴静注・繰り返し投与に進みます。

AUCとの関係はAUCとクリアランスの関係、クリアランスとEHはクリアランスの定義式と全身・腎・肝クリアランスの関係、この単元の地図は薬物動態解析の全体像と勉強の順番で確認できます。

初回通過効果そのものについては非経口薬(注射・経皮・直腸・鼻・肺・口腔粘膜)まとめでも扱っています。

薬剤を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、薬剤という科目のほんの一区画です。実際には、吸収から分布・代謝・排泄、そして製剤設計までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全33本・約11時間。「なぜこの薬がここで出てくるのか」「さっき覚えたあの話が、どこにつながるのか」が、バラバラの知識ではなく流れとして入ってきます。細切れに暗記してきたものが、1本の線になる感覚です。

薬剤のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。

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