
前の記事でニュートン流動と非ニュートン流動を見分けられるようになりました。ここからは、
- どうやって粘度を測るのか(局方の粘度測定法)
- 軟膏のような「固体でも液体でもないもの」をどう扱うのか(粘弾性モデル)
の2つを扱います。どちらも暗記項目ですが、覚え方のコツがはっきりしているので、ここを押さえれば得点源になります。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
粘度測定法:「漢字と漢字、カタとカタ」で覚える
粘度計には大きく2系統あり、どちらの流体に使えるかが決まっています。覚え方はこれです。
カタカナ(ニュートン流体) → カタカナの名前の粘度計 漢字(非ニュートン流体) → 漢字の名前の粘度計
| 対象 | 粘度計 | 何を測るか |
|---|---|---|
| ニュートン流体 | ウベローデ型粘度計・オストワルド型粘度計(毛細管粘度計) | 動粘度 |
| 非ニュートン流体(ニュートン流体もOK) | 回転粘度計 | 粘度 |
毛細管粘度計(ウベローデ型・オストワルド型)

U字型のガラス管に目盛りが付いた形をしていて、液体が決められた区間を通過するのに何秒かかるかを測ります。
ここで大事なのは、測っているのは動粘度だという点です。理由はシンプルで、液体が自分の重さで落ちていくのを見ているからです。前の記事で「動粘度は密度まで含めた実際の流れにくさ」と整理しましたが、まさにそれを測っている装置になります。
回転粘度計

外側の筒と内側の筒があり、そのあいだに試料を入れて内側の筒を回転させる装置です。回すのにどれだけの力が必要か、つまりトルクを測ります。
特徴は3つ。
- 測るのは粘度(動粘度ではない)
- ニュートン流体・非ニュートン流体のどちらにも使える
- せん断速度を変えられるので、非ニュートン流動の挙動を追える
「非ニュートンも測れるのは回転粘度計だけ」——ここが出題ポイントです。
局方の粘度測定法
日本薬局方の粘度測定法には、毛細管粘度計による方法と回転粘度計による方法の両方が収載されています。「局方の試験法はどれか」と問われたら、この3つ(ウベローデ型・オストワルド型・回転粘度計)が該当すると考えてください。
粘弾性モデル:軟膏のような中間物をどう扱うか
粘弾性とは、固体的な性質(弾性)と液体的な性質(粘性)の両方を持つ性質のことです。代表例が軟膏です。押せば形が変わる(液体的)けれど、手を離しても完全には流れ去らない(固体的)。この中間の状態を扱うのが粘弾性モデルです。
軟膏のような材料の性質を知るには、弾性力と粘性の2つを分けて測る必要があります。そのための道具が次の2つのモデルです。
モデルはどちらも、ばね(弾性を表す)とダッシュポット(粘性を表す)の組み合わせでできています。違いはつなぎ方と何を一定にするかです。
フォークトモデル:並列、応力一定 → クリープ現象

フォークトモデルは、ばねとダッシュポットを並列につないだモデルです。ここに一定の力(応力)をかけ続けて、ひずみがどう変化するかを見ます。
すると、
- 最初に一気に変形が起こる
- その後、じわじわとゆっくり変形が進む
- 最終的にあるひずみで収束する
この「最初にグッと、その後じわじわ」という現象をクリープ現象といいます。
身近な例でいうと、本棚に本をぎっしり入れたときの棚板です。置いた瞬間にたわみ、そのまま何年も置いておくとさらにじわじわたわんでいく。しかも本を抜いても、たわみが残ってしまう。建築の分野でも同じ「クリープ現象」という言葉を使います。
覚え方は「フォークで食べる」→ フォークトモデルは並列。
マックスウェルモデル:直列、ひずみ一定 → 応力緩和

マックスウェルモデルは、ばねとダッシュポットを直列につないだモデルです。フォークトモデルとは逆に、ひずみを一定に保ち、そのために必要な力がどう変化するかを見ます。
すると、
- 最初はかなり強い力で引っ張らないとそのひずみにならない
- 時間が経つにつれ、弱い力でも同じひずみを保てるようになる
この、力(応力)がだんだん抜けていく現象を応力緩和といいます。最終的に応力が残るのか残らないのかも、このモデルで調べられます。
2つのモデルの対比
| フォークトモデル | マックスウェルモデル | |
|---|---|---|
| つなぎ方 | 並列 | 直列 |
| 一定に保つもの | 応力(力) | ひずみ |
| 見る現象 | クリープ現象 | 応力緩和 |
混同しやすいので、「フォークト=並列=クリープ」「マックスウェル=直列=応力緩和」の2セットで丸ごと覚えてしまうのが確実です。
まとめ
- 粘度計の覚え方は「カタカナ(ニュートン)にはカタカナ、漢字(非ニュートン)には漢字」
- 毛細管粘度計(ウベローデ型・オストワルド型) → ニュートン流体、動粘度を測定
- 回転粘度計 → ニュートン流体も非ニュートン流体もOK、トルクから粘度を測定
- 局方の粘度測定法には毛細管粘度計と回転粘度計の両方が収載されている
- 粘弾性 = 弾性(固体的)と粘性(液体的)の両方を持つ性質。代表例は軟膏
- フォークトモデル:並列・応力一定 → クリープ現象
- マックスウェルモデル:直列・ひずみ一定 → 応力緩和
これで「製剤の性質」のうち、固形材料と半固形・液状材料が終わりました。次は分散系材料に入ります。界面の性質(界面張力・吸着・ぬれと接触角)へ進んでください。ひとつ前の流動の話はニュートン流動と非ニュートン流動の見分け方、全体像は製剤化のサイエンスとは?で確認できます。
薬剤を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、薬剤という科目のほんの一区画です。実際には、吸収から分布・代謝・排泄、そして製剤設計までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全33本・約11時間。「なぜこの薬がここで出てくるのか」「さっき覚えたあの話が、どこにつながるのか」が、バラバラの知識ではなく流れとして入ってきます。細切れに暗記してきたものが、1本の線になる感覚です。
薬剤のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。