製剤設計

点眼剤と眼軟膏(粒子径・容器・添加剤の違い)【薬剤師国家試験】

点眼剤・眼軟膏のマインドマップ
点眼剤・眼軟膏のマインドマップ

無菌製剤の最後、点眼剤と眼軟膏です。

この単元の勉強のコツは1つ。注射剤と比べながら読むことです。同じ無菌製剤なので似ている部分が多く、似ているのに違うところがそのまま出題ポイントになります。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

点眼剤

局方の試験法

試験法 理由
無菌試験法 無菌製剤だから
点眼剤の不溶性異物検査法
点眼剤の不溶性微粒子試験法

注射剤にも似た名前の試験がありましたが、局方では「注射剤の」と「点眼剤の」で別の試験として規定されています。名前を混ぜないよう注意してください。

溶剤

注射剤と同じ構成です。

  • 水性溶剤:滅菌精製水など
  • 非水性溶剤:植物油(所定の試験法に適合したものを使う)

添加剤:ホウ酸の可否が問われる

ルール
着色だけが目的の物質は使えない 目に不要なものは入れない
pH調整のための酸・アルカリはOK
保存剤は、多回投与するものにはOK 単回使い切りのものには入れない

そしてここが最大の出題ポイントです。

点眼剤はホウ酸OK ⇔ 注射剤はホウ酸ダメ

理由はホウ酸に毒性があることです。点眼剤くらいの微量なら問題ありませんが、注射剤は全身に回るうえ量も多くなるのでダメ——と理屈で押さえれば、どちらがどちらか迷いません。

粒子径:75μm以下

点眼剤の粒子径
点眼剤の粒子径

懸濁性の点眼剤中の最大粒子径は75μm以下です。ここは非常によく聞かれます。

懸濁性注射剤が150μm以下でしたから、点眼剤はその半分という関係になります。

なぜ点眼剤のほうが厳しいのか。大きいと異物感を感じるからです。まつ毛が目に入っただけでも痛いですが、まつ毛の直径がおよそ90μm。それより少し小さい値が75μmだと考えると、規制の厳しさに実感が湧くはずです。

覚え方は「眼(がん)= 75」。眼に関するものは75μm——眼軟膏も同じ値なので、まとめて片づきます。

容器:透明性のある気密容器

透明性のある気密容器

理由は2つとも説明できます。

  • 気密容器:中身が液体だから
  • 透明性:不溶性異物検査法を行うので、中を見て確認できる必要があるから

容器の種類(密閉・気密・密封)の整理は容器の種類と局方通則の温度で扱います。

製法

点眼剤の製法
点眼剤の製法

基本は注射剤と同じで、最終滅菌法が優先、できない場合は無菌操作法です。注射剤の工程に「ろ過」が加わるような流れになっています。

眼軟膏

局方の試験法:金属性異物試験法が特有

試験法 理由
無菌試験法 無菌製剤だから
眼軟膏剤の金属性異物試験法 アルミチューブに入っているので、金属の異物が混入する可能性がある

金属性異物試験法は眼軟膏だけの試験です。アルミチューブという容器の形から必要になっている、という理由込みで覚えてください。

粒子径・添加剤・容器

項目 内容
粒子径 75μm以下(点眼剤と同じ。「眼= 75」)
添加剤 保存剤OK。分割使用するため必要。パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノールなど
容器 気密容器(半固形だから)

点眼剤は「液体だから気密」、眼軟膏は「半固形だから気密」——結論は同じでも理由が違います。

基剤:涙で流れにくい油脂性基剤

眼軟膏の基剤には油脂性基剤が使われます。理由は涙で流れにくいからです。

  • ワセリン
  • 流動パラフィン
  • プラスチベース

軟膏の基剤でやった油脂性基剤の「ベタベタして水で洗い流せない」という性質が、ここでは長所になっています。同じ性質でも、使う場所によって評価が逆転する——この見方ができると製剤分野は面白くなります。

製法:なぜ基剤が2つ要るのか

眼軟膏の製法
眼軟膏の製法

眼軟膏の製法では、流動パラフィンと白色ワセリンの2つが基剤として出てきます。1つでよさそうなのに、なぜ2つなのか——ここに理由があります。

性質が違うからです。流動パラフィンは常温でとろっとした液体、白色ワセリンは固体。この違いを利用します。

①流動パラフィンを加熱融解してサラサラにし、ろ過滅菌する ②ふるいにかけて滅菌した主薬と混ぜる ← 液体なのですりつぶしやすく、混ざりやすい ③メインの基剤である白色ワセリンと混合する ④ろ過滅菌 → 充填 → 検査

つまり流動パラフィンは「主薬を混ぜ込むための液体」として先に使い、あとから固体のワセリンと合わせているわけです。いきなり固いワセリンに粉を混ぜるより、ずっと均一になります。

材料(主薬・流動パラフィン・白色ワセリン・アルミチューブ)をそれぞれ滅菌し、混合したあとでさらに滅菌する——無菌製剤らしい作り方です。

点眼剤と眼軟膏の比較表

点眼剤 眼軟膏
特有の試験法 点眼剤の不溶性異物検査法/不溶性微粒子試験法 眼軟膏剤の金属性異物試験法
最大粒子径 75μm以下 75μm以下
容器 透明性のある気密容器 気密容器
容器の理由 液体+異物検査のため透明 半固形
保存剤 多回投与のものはOK OK(分割使用のため)
基剤・溶剤 滅菌精製水/植物油 油脂性基剤(涙で流れにくい)

まとめ

  • 点眼剤の試験法は無菌試験法・点眼剤の不溶性異物検査法・点眼剤の不溶性微粒子試験法
  • 点眼剤はホウ酸OK、注射剤はホウ酸ダメ(ホウ酸に毒性があり、注射は全身に回るため)
  • 懸濁性点眼剤の最大粒子径は75μm以下(懸濁性注射剤150μmの半分)。「眼= 75」
  • 点眼剤の容器は透明性のある気密容器。液体だから気密、不溶性異物検査のために透明
  • 眼軟膏には金属性異物試験法がある(アルミチューブのため)
  • 眼軟膏の粒子径も75μm以下、容器は気密容器(半固形)、保存剤OK(分割使用)
  • 眼軟膏の基剤は油脂性基剤(ワセリン・流動パラフィン・プラスチベース)。涙で流れにくいから
  • 製法で基剤が2つあるのは、液体の流動パラフィンで主薬を混ぜ込んでから、固体の白色ワセリンと合わせるため

これで製剤の種類と製剤工程は完了です。次からは各論に入ります。錠剤の添加剤(結合剤・崩壊剤・滑沢剤・コーティング剤)へ進んでください。注射剤との比較は注射剤の分類と局方の試験法、剤形全体の地図は剤形分類の全体像で確認できます。

薬剤を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、薬剤という科目のほんの一区画です。実際には、吸収から分布・代謝・排泄、そして製剤設計までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全33本・約11時間。「なぜこの薬がここで出てくるのか」「さっき覚えたあの話が、どこにつながるのか」が、バラバラの知識ではなく流れとして入ってきます。細切れに暗記してきたものが、1本の線になる感覚です。

薬剤のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。

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