製剤設計

錠剤の製法(直打法・湿式/乾式顆粒圧縮法)と錠剤の種類【薬剤師国家試験】

錠剤のマインドマップ
錠剤のマインドマップ

製剤設計でいちばん出題が多いのが、この錠剤の製法です。

覚えることは2つだけ。4つの製法の名前と、それぞれの工程の順番です。工程は語呂で一気に片づくので、まずその語呂から入ります。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

錠剤の分類:まず3つに割る

錠剤の分類
錠剤の分類

錠剤は製法で3つに分かれます。

大分類 中分類 製法
圧縮錠剤 直接圧縮法(粉末圧縮法) 直打法、セミ直打法
圧縮錠剤 間接圧縮法(顆粒圧縮法) 湿式法(湿式顆粒圧縮法)、乾式法(乾式顆粒圧縮法・slug法)
湿製錠剤 — 湿製法(口腔内崩壊錠=OD錠など)

「直接」と「間接」の分かれ目は、途中で顆粒を作るかどうかです。粉のまま打つのが直接圧縮法、いったん顆粒にしてから打つのが間接圧縮法。名前のとおりなので、ここは理屈で判断できます。

そしてどの圧縮法でも、打錠の直前には必ず滑沢剤を加えます。これは全製法に共通する鉄則なので、先に押さえておいてください。

湿製法だけ先に片づける

湿製法は圧縮しない作り方です。混ぜる → 練る → 成形する → 乾燥する、それだけ。

作られるのは口腔内崩壊錠(OD錠)などです。口の中でさっと崩れてほしいので、ぎゅっと圧縮せず、ふわっとした構造に作る必要がある——そう考えると製法とも結びつきます。

覚えるのはここまでで十分です。大変なのは圧縮錠剤のほうです。

語呂「これぞかんせいだ!!」で工程を覚える

錠剤の製造工程の語呂合わせ
錠剤の製造工程の語呂合わせ

基準になるのは、いちばんよく使われる湿式顆粒圧縮法の工程です。これさえ覚えれば、残りの3つは「ここを抜いたもの」「ここを足したもの」として導けます。

こ(混合)→ れ(練合)→ ぞ(造粒)→ かん(乾燥)→ せい(整粒)→ だ(打錠) 「これぞかんせいだ!!」

添加剤を入れるタイミングも、この流れの上に乗せて覚えます。

  • スタート地点にあるのは 主薬 + 賦形剤 + 崩壊剤
  • 練合の直前に結合剤を加える
  • 打錠の直前に滑沢剤を加える

パンを作る場面を思い浮かべると流れがつかめます。小麦粉とイースト菌にあたるのが主薬と賦形剤、そこに水(結合剤)を入れてこねる=練合、というイメージです。

①湿式顆粒圧縮法:基準になる製法

湿式顆粒圧縮法
湿式顆粒圧縮法

主薬を粉砕・分級 → 賦形剤・崩壊剤と混合 → 結合剤(液体)を入れて練合 → 造粒 → 乾燥 → 整粒 → 滑沢剤を入れて打錠

いちばん多く使われる製法ですが、弱点がはっきりしています。

  • 練合で水を使う → 水に不安定な薬はダメ
  • 乾燥で熱を使う → 熱に不安定な薬もダメ

したがって、アスピリン・アスコルビン酸のように水と熱に弱い薬には使えません。この2つは代表例として名指しで出るので、セットで覚えてください。

②直打法:いちばん単純な製法

直打法
直打法

主薬を粉砕・分級 → 崩壊剤・賦形剤・結合剤(固体)と混合 → 滑沢剤を入れて打錠

「これぞかんせいだ」の真ん中——練合・造粒・乾燥・整粒がまるごと無い形です。粉を混ぜて打つだけ。

ポイントは結合剤です。水っぽくしたくないので、固体の結晶セルロースを使います。液体の結合剤を使う湿式顆粒圧縮法との対比で覚えてください。

長所は明快で、

  • 工程が短い
  • 練合も乾燥もしないので、水分・熱に不安定な薬でもOK

では全部これでいいのかというと、そうはいきません。主薬の流動性が悪い、圧縮してもうまく固まらない(圧縮成形性が悪い)といった障害が起きやすく、さらに粉のまま打つので含量均一性が確保しにくいという弱点があります。だから実際には、他の製法が選ばれる場面が多くなります。

③乾式顆粒圧縮法(slug法):直打法に顆粒化を足す

乾式顆粒圧縮法
乾式顆粒圧縮法

直打法の弱点を、水も熱も使わずに補おうとしたのがこれです。

主薬を粉砕・分級 → 添加剤・結合剤(固体の結晶セルロース)と混合 → 圧縮成形 → 破砕・分級 → 滑沢剤を入れて打錠

直打法の真ん中に「圧縮成形 → 破砕・分級」を挟んだ形です。いったん大きく固めてから砕くことで顆粒を作っているので、名前に「顆粒」が入っています。

この圧縮成形の工程をスラッグ(slug)化と呼ぶため、slug法という別名があります。

そして水も熱も使わないので、水・熱に不安定な薬でもOKです。ここが湿式との決定的な違いになります。

④セミ直打法:直打法の改良版

セミ直打法
セミ直打法

工程がやや煩雑なのであまり使われませんが、考え方は分かりやすいです。

主薬はそのまま、添加剤だけを先に顆粒にしておく——それがセミ直打法です。

【添加剤側】 賦形剤などを「これぞかんせいだ」の流れ(混合→練合→造粒→乾燥→整粒)で添加剤顆粒にする 【主薬側】 主薬を粉砕・分級 【合流】 添加剤顆粒と主薬を混合 → 滑沢剤を入れて打錠

添加剤側で使う結合剤は液体で、ポビドンやヒドロキシプロピルセルロースといったものです(添加剤の詳細は錠剤の添加剤で扱います)。

主薬そのものは水にも熱にもさらされない、というのがこの製法の狙いです。

4つを1枚で見比べる

製法 工程 水・熱 結合剤
湿式顆粒圧縮法 混合→練合→造粒→乾燥→整粒→打錠 使う(アスピリン・アスコルビン酸は不可) 液体
直打法 混合→打錠 使わない 固体(結晶セルロース)
乾式顆粒圧縮法 混合→圧縮成形→破砕・分級→打錠 使わない 固体(結晶セルロース)
セミ直打法 添加剤を顆粒化→主薬と混合→打錠 主薬にはかからない 添加剤側は液体

直打法を軸にして、そこに何を足したかで3つを位置づけるのが、いちばん崩れにくい覚え方です。

錠剤の試験法

錠剤を作ったら、次の試験に適合させる必要があります。

  • 製剤均一性試験法
  • 溶出試験法 または 崩壊試験法

詳しくは局方の試験法まとめで扱いますが、錠剤とカプセル剤はこの組み合わせが同じなので、ここで一緒に覚えてしまうと効率がいいです。

まとめ

  • 錠剤は圧縮錠剤(直接圧縮法・間接圧縮法)と湿製錠剤(湿製法=OD錠)に分かれる
  • 分かれ目は途中で顆粒を作るかどうか。打錠の直前には必ず滑沢剤
  • 工程の語呂は「これぞかんせいだ!!」= 混合・練合・造粒・乾燥・整粒・打錠。結合剤は練合の前、滑沢剤は打錠の前
  • 湿式顆粒圧縮法は水と熱を使うので、アスピリン・アスコルビン酸には使えない
  • 直打法は混合して打つだけ。結合剤は固体の結晶セルロース。工程が短く水熱に強いが、流動性・圧縮成形性・含量均一性に課題
  • 乾式顆粒圧縮法(slug法)は直打法に圧縮成形→破砕・分級を足したもの。水熱に不安定な薬に使える
  • セミ直打法は添加剤だけ先に顆粒化してから主薬と混ぜる
  • 試験法は製剤均一性試験法 + 溶出試験法または崩壊試験法

次は経口する製剤の残りです。顆粒剤・散剤・カプセル剤・経口液剤・経口フィルム剤へ進んでください。剤形全体の地図は剤形分類の全体像で確認できます。

薬剤を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、薬剤という科目のほんの一区画です。実際には、吸収から分布・代謝・排泄、そして製剤設計までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全33本・約11時間。「なぜこの薬がここで出てくるのか」「さっき覚えたあの話が、どこにつながるのか」が、バラバラの知識ではなく流れとして入ってきます。細切れに暗記してきたものが、1本の線になる感覚です。

薬剤のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。

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