製剤設計

錠剤の添加剤(結合剤・崩壊剤・滑沢剤・コーティング剤)【薬剤師国家試験】

添加剤のマインドマップ
添加剤のマインドマップ

ここからは製剤設計の各論です。まずは添加剤——錠剤の製法や軟膏の基剤で名前だけ出てきたものを、ここでまとめて整理します。

この記事では錠剤系の添加剤、つまり結合剤・崩壊剤・コーティング剤・滑沢剤を扱います。名前が似たものが多いパートですが、「似ているのに役割が違う」ペアを狙って覚えれば一気に片づきます。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

結合剤:原則は「カタカナ+ロース」

結合剤の主力はセルロース系です。おおまかな原則として、

カタカナ + 〜ロース → セルロース系の結合剤

結合剤 ポイント
結晶セルロース 固体のまま使える(直打法・乾式顆粒圧縮法で使われるのはこれ)
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)
ヒプロメロース(HPMC)
カルメロースNa
メチルセルロース
ポビドン セルロース系ではないが結合剤

結晶セルロースが「固体のまま使える」という特徴は、錠剤の製法で直打法・乾式顆粒圧縮法に使われていた理由そのものです。水を使いたくない製法だから、固体の結合剤が要る——ここがつながります。

カルメロースNa と カルメロースCa は役割が違う

結合剤と崩壊剤の語呂合わせ
結合剤と崩壊剤の語呂合わせ

ここが最大の引っかけポイントです。カルメロースはNaかCaかで役割が変わります。

「仲良く結合Na、悲しく崩壊Ca」 カルメロースNa → 結合剤 カルメロースCa → 崩壊剤

塩の種類まで含めて覚えないと答えられないので、この語呂で固めてください。

崩壊剤:「低〜」と「クロス〜」

崩壊剤
崩壊剤

崩壊剤は3つです。

  • カルメロースCa(悲しく崩壊Ca)
  • 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)
  • クロスカルメロースNa

原則は「カタカナ+ロース=結合剤」でしたが、そこに例外ルールが乗ります。

カタカナ+ロースでも、「低〜」と「クロス〜」がついたら崩壊剤

ヒドロキシプロピルセルロースは結合剤ですが、低置換度がつくと崩壊剤。カルメロースNaは結合剤ですが、クロスがつくと崩壊剤。接頭語が役割を変えると覚えてください。

コーティング剤

コーティングの目的は3つ

  1. 湿気や光による変質を防止する
  2. においや味をマスキングする
  3. 放出をコントロールする(腸溶性・胃溶性・徐放性を付与する)

②は実感しやすい例があります。糖衣錠を割ってみると、中身はかなりのにおいがすることがあります。あの糖衣がにおいを閉じ込めているわけです。

シュガーコーティングとフィルムコーティング

特徴
シュガーコーティング 工程が多く時間もかかる。防水膜をしてから何度も塗り重ねる
フィルムコーティング 工程が簡単。機能を付与できるので幅広く使われる

シュガーコーティングが大変なのは、糖の層が水に弱いので先に防水膜を作ってから、薄い層を何度も重ねてツヤを出していく必要があるためです。

一方のフィルムコーティングは工程が簡単なうえ、コーティング剤を選ぶことで放出性を設計できます。だから現在の主力になっています。

フィルムコーティング剤は「機能とセット」で覚える

ここは覚える量が多いところです。機能 → その機能を持つコーティング剤の形で覚えてください。

①腸溶性

腸溶性コーティング剤の語呂合わせ
腸溶性コーティング剤の語呂合わせ

酸性では溶解せず、中性くらいから徐々に溶解する性質です。胃(酸性)では溶けず、十二指腸・小腸(中性寄り)に進んでから溶ける、というしくみになります。

「超 増える フタ付き コップ」 超 → 腸溶性 増える → セラセフェート フタ付き → ヒプロメロースフタル酸エステル コップ → メタクリル酸コポリマー

②胃溶性

  • ヒプロメロース
  • ヒドロキシプロピルセルロース

見覚えがあるはずです。どちらも結合剤として出てきた「カタカナ+ロース」です。結合剤を錠剤に塗って乾かしたものが胃溶性のコーティングになる、と理解しておけば、別途覚え直す必要がありません。

③徐放性

徐放性コーティング剤の語呂合わせ
徐放性コーティング剤の語呂合わせ

「徐々にエッチになっていく」 徐々に → 徐放性 エッチ → エチルセルロース

3つの機能のうち、徐放性だけエチルセルロース1つなので、ここは楽に片づきます。

滑沢剤

滑沢剤の語呂合わせ
滑沢剤の語呂合わせ

機能は2つです。

  • 流動性の改善
  • 錠剤をつややかにする

そして粉体の性質でやったとおり、最適値があります。

おおよそ1〜2%が最適値。入れすぎると逆に流動性が下がる

種類の語呂はこれです。

「勝手にタルを捨てまくる」 タル → タルク 捨て → ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム まくる → マクロゴール

そして錠剤の製法の鉄則をもう一度。どの製法でも、打錠の直前に滑沢剤を入れます。

まとめ

  • 結合剤は原則「カタカナ+〜ロース」。結晶セルロースだけ固体のまま使える
  • 「仲良く結合Na、悲しく崩壊Ca」 — カルメロースNaは結合剤、カルメロースCaは崩壊剤
  • 崩壊剤はカルメロースCa・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース・クロスカルメロースNa。「低〜」「クロス〜」がついたら崩壊剤
  • コーティングの目的は変質防止・マスキング・放出制御
  • シュガーコーティングは工程が多い(防水膜→重ね塗り)、フィルムコーティングは簡単で機能を付与できる
  • 腸溶性は「超 増える フタ付き コップ」= セラセフェート・ヒプロメロースフタル酸エステル・メタクリル酸コポリマー
  • 胃溶性はヒプロメロース・ヒドロキシプロピルセルロース(結合剤と同じもの)
  • 徐放性は「徐々にエッチになっていく」= エチルセルロース
  • 滑沢剤は「勝手にタルを捨てまくる」= タルク・ステアリン酸Mg/Ca・マクロゴール。最適値は1〜2%

次は錠剤以外も含めた添加剤の総まとめです。製剤添加剤まとめ(保存剤・懸濁化剤・乳化剤・安定化剤・pH調整剤・等張化剤)へ進んでください。錠剤の製法は錠剤の製法と錠剤の種類、剤形全体の地図は剤形分類の全体像で確認できます。

薬剤を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、薬剤という科目のほんの一区画です。実際には、吸収から分布・代謝・排泄、そして製剤設計までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全33本・約11時間。「なぜこの薬がここで出てくるのか」「さっき覚えたあの話が、どこにつながるのか」が、バラバラの知識ではなく流れとして入ってきます。細切れに暗記してきたものが、1本の線になる感覚です。

薬剤のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。

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