
添加剤に続いて、製剤化の機械です。名前がたくさん出てくるので身構えるところですが、実はすでに知っている流れの上に並べるだけで整理できます。
思い出してください。錠剤の製法の語呂です。
「これぞかんせいだ!!」 = 混合 → 練合 → 造粒 → 乾燥 → 整粒 → 打錠
この四角で囲われた1つ1つが単位操作と呼ばれるもので、それぞれに専用の機械がある——それがこの単元の正体です。だから機械を覚えるときは、「今学んでいるのは、あの流れのどこの機械か」を毎回確認してください。それだけで、バラバラの名前が1本の線に乗ります。
この記事では流れの最初、粉砕と混合を扱います。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
粉砕機:4つ。軸は「熱」
粉砕機は4つあり、国試で問われるのは主に熱に強いか弱いかです。そこを軸に覚えると、対比で頭に入ります。
①ジェットミル:熱に不安定な薬にも使える

流体エネルギーで粉砕する機械です。原料と圧縮空気を送り込み、粒子同士を高速で衝突させて砕きます。
最大の特徴は冷却効果です。
圧縮空気が膨張するときに熱を奪う → 装置が冷える → 熱に不安定な薬に使える
スプレー缶を使い続けると缶が冷たくなりますが、あれと同じ現象です(ジュール・トムソン効果)。「ジェットミル=冷える=熱に弱い薬OK」で覚えてください。
②ボールミル

タンクの中にボールと粉体を一緒に入れ、タンクごと回転させてすりつぶす機械です。名前のとおりなので、図と名前を一致させておけば十分です。
③ハンマーミル:熱に不安定な薬はダメ

送り込まれた粉体を、高速回転するハンマーで叩いて粉砕します。
問題は高速回転させるので熱が発生することです。長時間運転すると温度が上がるため、
ハンマーミルは熱に不安定な薬には使えない
ジェットミル(冷える)⇔ ハンマーミル(熱くなる)——この対比が出題ポイントです。
④コロイドミル:懸濁剤・乳剤の調製用

名前のとおりコロイド、つまり懸濁剤や乳剤を調製するための機械です。
高速回転するローターと狭いすき間を通すことで強力なせん断力をかけます。懸濁剤や乳剤は粒子径が小さいほど安定でしたから、そのための装置だと考えれば用途が結びつきます。
粉砕機の比較
| 機械 | 粉砕のしくみ | 熱 | 用途 |
|---|---|---|---|
| ジェットミル | 流体エネルギーで粒子同士を衝突 | 冷却効果あり | 熱に不安定な薬OK |
| ボールミル | ボールと一緒に回してすりつぶす | — | — |
| ハンマーミル | 高速回転のハンマーで叩く | 熱が発生 | 熱に不安定な薬✕ |
| コロイドミル | ローターの強いせん断力 | — | 懸濁剤・乳剤の調製 |
混合機:回転型と固定型
混合機は装置全体が回るか、中の羽根が回るかで2つに分かれます。
回転型:V型混合機

V字型の容器そのものが回転する機械です。回転するたびに粉体が集合と分割を繰り返すことで混ざっていきます。
注意点が1つ。回し続けると、かえって再分離してしまうことがあります。顆粒剤で見た「粒度の違うものは混ぜるほど分離する」という現象と同じで、適度なところで止める必要があります。
固定型①:リボン型混合機

容器は固定で、リボン状(らせん状)の羽根が回転して混ぜます。構造が単純な機械です。
固定型②:旋回スクリュー型混合機

円錐形の容器の中で、スクリューが自転しながら、容器の壁に沿って公転する機械です。
自転と公転の両方をするのが最大の特徴です。スクリューが粉体を持ち上げ、また落ちて——という動きを容器全体で繰り返すので、よく混ざります。
混合機の比較
| 型 | 機械 | 動くもの |
|---|---|---|
| 回転型 | V型混合機 | 容器そのものが回転。集合と分割を繰り返す |
| 固定型 | リボン型混合機 | らせん状の羽根が回転 |
| 固定型 | 旋回スクリュー型混合機 | スクリューが自転+公転 |
「容器が回るのがV型、中身が回るのがリボン型と旋回スクリュー型」と整理すれば取り違えません。
まとめ
- 機械は「これぞかんせいだ」のどの工程の道具かを意識して覚える
- ジェットミルは流体エネルギーで粒子同士を衝突。圧縮空気の膨張による冷却効果があり、熱に不安定な薬に使える
- ハンマーミルは高速回転のハンマーで叩く。熱が発生するので熱に不安定な薬には使えない
- ボールミルはボールと一緒に回してすりつぶす
- コロイドミルは強いせん断力で懸濁剤・乳剤を調製する
- 混合機は回転型(V型混合機)と固定型(リボン型・旋回スクリュー型)
- V型混合機は回しすぎると再分離する。旋回スクリュー型は自転+公転
次は造粒機です。製剤化の機械②造粒機(乾式・湿式)へ進んでください。添加剤の総まとめは製剤添加剤まとめ、剤形全体の地図は剤形分類の全体像で確認できます。
薬剤を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、薬剤という科目のほんの一区画です。実際には、吸収から分布・代謝・排泄、そして製剤設計までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全33本・約11時間。「なぜこの薬がここで出てくるのか」「さっき覚えたあの話が、どこにつながるのか」が、バラバラの知識ではなく流れとして入ってきます。細切れに暗記してきたものが、1本の線になる感覚です。
薬剤のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。