
各論の最後から2つ目、局方の試験法です。
数は多いのですが、ほとんどがこれまでの単元で一度出てきたものです。この記事の役目は新しい暗記ではなく、バラバラに出てきた試験法を4つの引き出しに片づけることにあります。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
4つの引き出し
| 分類 | 何を調べるか |
|---|---|
| 物理的試験法 | 浸透圧、水分、粘度、結晶構造 |
| 粉体物性測定法 | 比表面積、粒子密度、粒度 |
| 生物学的試験 | エンドトキシン、発熱性物質、無菌 |
| 製剤試験法 | 製剤ごとの品質(均一性・崩壊・溶出など) |
まずこの4分類を頭に置いてから、中身に入ってください。
①物理的試験法
| 試験法 | 何を測るか | 関連 |
|---|---|---|
| 浸透圧測定法 | 凝固点降下法を使って浸透圧を測る | 等張化計算の氷点降下度法と同じ原理 |
| 水分測定法(カールフィッシャー法) | 医薬品の水分量 | — |
| 粘度測定法 | 粘度・動粘度 | 粘度測定法 |
| 粉末X線回折測定法 | 結晶構造 | 結晶多形 |
水分測定法(カールフィッシャー法)
水分は多すぎても少なすぎてもよくありません。たとえば顆粒の水分が足りないと溶けにくくなりますし、多すぎれば打錠障害のベタベタ系が起きます。適量の水分があるかを確かめる試験です。
粘度測定法
粘弾性モデルと局方の粘度測定法でやった内容がそのまま該当します。
- 毛細管粘度計(ウベローデ型・オストワルド型) → ニュートン流体、動粘度を測定
- 回転粘度計 → ニュートン流体も非ニュートン流体も測定可、トルクから粘度を測定
覚え方は「カタカナにはカタカナ、漢字には漢字」でした。
粉末X線回折測定法
結晶構造を調べる試験です。非晶質なのか結晶なのか、結晶なら安定形か準安定形かを見ることで、品質や安定性を確認します。結晶多形で「準安定形が安定形に転移すると溶けなくなる」という話をしましたが、それを検出するための試験です。
②粉体物性測定法
粉体の性質で扱った測定法が、そのまま局方の試験法として並びます。
| 試験法 | ポイント |
|---|---|
| 比表面積測定法 | 気体吸着法が局方の方法(Langmuir式・BET式)。比表面積から平均粒子径が分かる |
| 粉体粒子密度測定法 | ピクノメーター法 |
| 粒度試験法 | 顕微鏡法・ふるい分け法など |
比表面積測定法で局方に採用されているのは気体吸着法(空気透過法ではない)——ここは以前も出てきた頻出ポイントです。
③生物学的試験
3つあり、前の2つと無菌試験法はまったく別物なので分けて考えます。
エンドトキシン試験法
エンドトキシンの検出・定量を行う試験です。使うものが特徴的で、
カブトガニの血球抽出成分(ライセート試薬)を使う
「カブトガニが死んでしまって来世は…」と語呂で結びつけると、ライセートが出てきます。
発熱性物質試験法
ウサギを使って発熱性物質があるかを試験します。位置づけが大事で、
エンドトキシン試験法が困難なときの代用として使える
無菌試験法
微生物の有無を調べる試験です。無菌製剤のところで何度も出てきました。方法は直接法とメンブランフィルター法の2つ——名前だけ知っていれば十分です。
④製剤試験法
いちばん数が多いところですが、後半の崩壊試験法・溶出試験法以外は、すでに出てきたものです。
剤形に固有の試験法
| 試験法 | 対象 | 理由 |
|---|---|---|
| 眼軟膏剤の金属性異物試験法 | 眼軟膏 | アルミチューブのため |
| 注射剤の採取容量試験法 | 注射剤 | 表示量より少し多めに採取できる量が充填されているか |
| 注射剤の不溶性異物試験法 | 注射剤 | 肉眼で観察する |
| 注射剤の不溶性微粒子試験法 | 注射剤 | |
| 点眼剤の不溶性異物検査法 | 点眼剤 | 透明な容器に入れるのはこのため |
| 点眼剤の不溶性微粒子試験法 | 点眼剤 |
「注射剤の」と「点眼剤の」は別の試験です。名前を混ぜないよう注意してください。
製剤均一性試験法
個々の製剤の間での、有効成分含量の均一性の程度を示すための試験
方法は2つあり、どちらかでOKです。
| 方法 | 何を測るか |
|---|---|
| 含量均一性試験 | 有効成分の含量を測定する |
| 質量偏差試験 | 製剤の質量を測定する |
崩壊試験法
定められた条件で、規定時間内に崩壊するかを調べる試験
ポイントは試験液です。消化管をモデル化した液を使い分けます。
| 製剤 | 試験液 |
|---|---|
| 腸溶性 | 第1液(pH1.2、胃液を想定)と第2液(pH6.8、腸液を想定) |
| 即放性 | 水 |
腸溶性コーティングが「酸性では溶けず、中性くらいから溶ける」設計でしたから、第1液で崩壊せず、第2液で崩壊することを確かめる——そういう試験になります。
溶出試験法
目的:ちゃんと溶出するかを確かめ、著しい生物学的非同等性を防ぐ
対象は経口製剤の主成分の溶出です。ここで1つ注意。
坐剤は対象外
経口製剤の試験なので、坐剤には適用しません。引っかけで出ます。

方法は3つです。
| 方法 | しくみ |
|---|---|
| パドル法 | 試験液の中でパドル(羽根)を回転させて溶かす |
| 回転バスケット法 | バスケットの中に製剤を入れて回転させる |
| フロースルーセル法 | 試験液をポンプで吸い上げて流し、セルを通過させながら溶かす |
まとめ
- 局方の試験法は物理的試験法・粉体物性測定法・生物学的試験・製剤試験法の4分類
- 水分測定法=カールフィッシャー法、粉末X線回折測定法=結晶構造
- 比表面積測定法で局方採用は気体吸着法、粒子密度はピクノメーター法
- エンドトキシン試験法=カブトガニのライセート試薬、発熱性物質試験法=ウサギ(エンドトキシン試験法が困難なときの代用)
- 無菌試験法は直接法・メンブランフィルター法
- 製剤均一性試験法は含量均一性試験か質量偏差試験のどちらかでOK
- 崩壊試験法の試験液は、腸溶性が第1液(pH1.2)・第2液(pH6.8)、即放性が水
- 溶出試験法は経口製剤が対象で坐剤は対象外。パドル法・回転バスケット法・フロースルーセル法
次は製剤設計の最後、容器と温度です。容器の種類(密閉・気密・密封)と局方通則の温度へ進んでください。製剤化の機械は製剤化の機械③、剤形全体の地図は剤形分類の全体像で確認できます。
薬剤を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、薬剤という科目のほんの一区画です。実際には、吸収から分布・代謝・排泄、そして製剤設計までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全33本・約11時間。「なぜこの薬がここで出てくるのか」「さっき覚えたあの話が、どこにつながるのか」が、バラバラの知識ではなく流れとして入ってきます。細切れに暗記してきたものが、1本の線になる感覚です。
薬剤のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。