
「これぞかんせいだ」の最後、打錠とその先です。
このパートの山場は打錠障害です。名前が7つも出てきますが、原因が2つしかないので、そこで束ねれば一気に覚えられます。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
打錠機:単発式とロータリー型

| 機械 | 用途 |
|---|---|
| 単発式打錠機 | 実験室などで少量を作るとき |
| ロータリー型打錠機 | 大量生産に使う |
やっていることはどちらも同じで、臼に粉体を入れて杵で打つだけです。違いは臼が1つか、回転盤に複数並んでいるか。だから構造は単発式で理解しておけば足ります。
打錠の流れと応力の向き
①下杵の位置を薬の量に応じて調整する ②上杵が降りてきて圧縮する ③上杵・下杵がともに上がり、錠剤が出てくる
ここで押さえるべきは応力の大きさです。
上杵にかかる応力のほうが、下杵より大きい
上から押し込むので上杵に強くかかり、下側は粉体がクッションになって逃げるぶん小さくなります。上杵>下杵——ここは問われます。
打錠障害:原因は「カラカラ」か「ベタベタ」か
打錠障害は顆粒の水分と結合剤の量で決まります。原因は2系統しかありません。
| 原因 | 状態 | 起きる障害 |
|---|---|---|
| 顆粒の過乾燥・結合剤不足 | カラカラ | キャッピング、ラミネーション |
| 顆粒の乾燥不足・結合剤過剰 | ベタベタ | スティッキング、バインディング、ピッキング |
カラカラ系:くっつく力が足りず「割れる」

覚え方は「カラカラのキー・ラー」です。
キー → キャッピング ラー → ラミネーション
| 障害 | どうなるか | 名前の由来 |
|---|---|---|
| キャッピング | 錠剤の上部が帽子のように剥がれる | cap(帽子) |
| ラミネーション | 錠剤が真ん中から層状に割れる | ラミネート加工(上下から貼り合わせる)と同じ語源 |
どちらも結合する力が足りないから割れる——カラカラだと納得できます。
ベタベタ系:くっつきすぎて「傷がつく」

| 障害 | どうなるか | 名前の由来 |
|---|---|---|
| スティッキング | 杵に粉体が付着し、錠剤表面に傷ができる | stick(くっつく) |
| バインディング | 臼壁に付着して、錠剤側面に引っかき傷ができる | bind(締めつける・くっつく) |
| ピッキング | 錠剤表面に小さな穴ができる | pick(つつく) |
こちらはくっつきすぎて剥がれ跡が残るイメージです。くっつく相手が杵ならスティッキング、臼壁ならバインディング(側面)——付着する場所で区別してください。
その他の障害
マインドマップにはあと2つ載っています。
| 障害 | どうなるか |
|---|---|
| クラッキング | 錠剤上部中央に穴ができる |
| チッピング | 錠剤がチップ(破片)になる |
7つを一覧で
| 障害 | 見た目 | 原因 |
|---|---|---|
| キャッピング | 上部が帽子状に剥がれる | カラカラ |
| ラミネーション | 真ん中から割れる | カラカラ |
| スティッキング | 表面に傷(杵に付着) | ベタベタ |
| バインディング | 側面に引っかき傷(臼壁に付着) | ベタベタ |
| ピッキング | 表面に小さな穴 | ベタベタ |
| クラッキング | 上部中央に穴 | — |
| チッピング | 破片になる | — |
「割れるのはカラカラ、傷がつくのはベタベタ」——この一言でほとんどの問題は処理できます。
コーティング装置
コーティング剤を実際に塗る装置です。2つあり、後から出たほうが高性能という関係になっています。
パンコーティング装置

パン(フライパンのpan)と呼ばれる容器を回転させながら、コーティング液をスプレーし、送風して乾かす装置です。もともとある基本形ですが、排気がしにくいという弱点がありました。
通気式コーティング装置

パンコーティング装置を改良したもので、回転する容器の上下に多孔板がついています。そこから吸気・排気ができるので空気がよく通り、
乾燥効率が高い → 時短になる
これが最大の利点です。「通気式=乾燥効率が高い=速い」で覚えてください。
カプセル充填機
カプセル剤で名前だけ触れたものを、ここでしくみまで押さえます。
硬カプセル:語呂は「AD好プレー」

Auger式 / Disc式 / 好カプセル / プレス(Compress)式
| 方式 | 何で充填するか |
|---|---|
| Auger(オーガ)式 | 漏斗の中のらせん状の棒(オーガ)が回転して粉を押し込む |
| Disc(ディスク)式 | ディスクの穴に粉を入れ、自重で落として充填する |
| Compress(プレス)式 | プランジャーが注射器のように、充填 → 移動 → 押出 で入れる |
「押し込む/落とす/押し出す」という動作の違いで区別すると、名前と結びつきます。
軟カプセル:2つの方式

ロータリーダイス法は、シート状のゼラチンフィルムで薬液をはさみ、歯車状のダイスで打ち抜いて密封する方式です。

滴下法は二重ノズルを使います。外側からゼラチン溶液、内側から薬液を同時に落とすと、表面張力で自然に球形になります。
滴下法 → 継ぎ目のない(シームレス)カプセルができる
界面の性質でやった「表面張力があるから液滴は球形になる」が、そのまま製造技術になっている例です。
まとめ
- 打錠機は単発式(少量)とロータリー型(大量生産)。やっていることは同じ
- 上杵にかかる応力のほうが下杵より大きい
- 打錠障害の原因は2つだけ。カラカラ(過乾燥・結合剤不足)は割れる、ベタベタ(乾燥不足・結合剤過剰)は傷がつく
- カラカラ系は「キー・ラー」= キャッピング(上部が帽子状に剥がれる)・ラミネーション(真ん中から割れる)
- ベタベタ系はスティッキング(杵に付着・表面に傷)・バインディング(臼壁に付着・側面に傷)・ピッキング(表面に小さな穴)
- ほかにクラッキング(上部中央に穴)・チッピング(破片になる)
- コーティング装置はパンコーティング装置と、上下の多孔板で乾燥効率が高い通気式コーティング装置
- 硬カプセル充填機は「AD好プレー」= Auger式・Disc式・Compress式
- 軟カプセルはロータリーダイス法と滴下法(シームレス)
次は局方の試験法をまとめます。局方の試験法まとめ(物理的・粉体物性・生物学的・製剤試験法)へ進んでください。造粒機は製剤化の機械②、剤形全体の地図は剤形分類の全体像で確認できます。
薬剤を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、薬剤という科目のほんの一区画です。実際には、吸収から分布・代謝・排泄、そして製剤設計までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全33本・約11時間。「なぜこの薬がここで出てくるのか」「さっき覚えたあの話が、どこにつながるのか」が、バラバラの知識ではなく流れとして入ってきます。細切れに暗記してきたものが、1本の線になる感覚です。
薬剤のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。