
実際の薬は、点滴のように連続で入れるより、1日3回のように区切って飲むほうが圧倒的に多いですよね。
繰り返し投与のグラフは、ギザギザしながら少しずつ上がっていき、やがて一定の幅の中に落ち着きます。このとき「平均してどのくらいの濃度なのか」を表すのがCss,avgです。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
繰り返し投与のグラフ

1回目を投与すると濃度が上がり、そこから下がっていきます。まだ濃度がゼロにならないうちに2回目を投与するので、2回目のピークは1回目より高くなります。これを繰り返すうちに、濃度は徐々に上がっていきます。
やがて、上がる分と下がる分が釣り合うところで落ち着きます。これが繰り返し投与の定常状態です。このとき、
- ピークの濃度を Css,max
- 谷の濃度を Css,min
と呼びます。
平均血中濃度Css,avgの求め方

ここで一つ注意点があります。
Css,avgは、Css,maxとCss,minのちょうど真ん中ではありません。
厳密には、定常状態の1回分のAUCを時間で均したものになります。ただ、そこを計算で追うのは大変なので、もっと素直な考え方で同じ答えにたどり着けます。
定常状態では、入る量と出る量が釣り合っています。点滴静注のときと同じ発想です。
- 入るスピード — 投与間隔をτ(タウ)として、1回にDだけ入れるなら、平均すると D/τ
- 出るスピード — クリアランスの定義式より CLtot × Css,avg
この2つが等しいので、
D/τ = CLtot × Css,avg
整理すると、
Css,avg = D / (τ × CLtot)
すごく単純な式ですよね。この導出で覚えてしまって大丈夫です。
経口投与の場合

上の式のDは「体循環に入った量」です。静脈内投与なら投与量がそのまま入りますが、経口投与ではバイオアベイラビリティの分だけ目減りします。
Css,avg = F × Dpo / (τ × CLtot)
Fを掛けるだけ、というのが違いです。バイオアベイラビリティについてはバイオアベイラビリティと生物学的同等性をご覧ください。
点滴静注の式と見比べる
点滴静注のCssと並べてみると、構造が同じであることが分かります。
| 式 | 入るスピード | |
|---|---|---|
| 点滴静注 | Css = k₀ / CLtot | k₀(連続的に入る) |
| 繰り返し投与 | Css,avg = D / (τ・CLtot) | D/τ(平均すると) |
どちらも「入るスピード ÷ クリアランス」です。連続で入れるか区切って入れるかの違いだけで、平均してしまえば同じ話をしている、と理解しておくと式が混ざりません。
まとめ
- 繰り返し投与では、ピーク(Css,max)と谷(Css,min)の間で濃度が落ち着く
- Css,avgはCss,maxとCss,minの単純な中間ではない
- 定常状態では入る量と出る量が釣り合うので、Css,avg = D / (τ × CLtot)
- 経口投与では Css,avg = F × Dpo / (τ × CLtot)
- 点滴静注のCssと同じく「入るスピード ÷ クリアランス」の形
次は、ピークと谷の具体的な値を出すために使う蓄積率Rに進みます。蓄積率Rの考え方とCss,max・Css,minの求め方へ進んでください。
点滴静注の定常状態は点滴静注の定常状態血中濃度(Css)、クリアランスはクリアランスの定義式と全身・腎・肝クリアランスの関係、この単元の地図は薬物動態解析の全体像と勉強の順番で確認できます。
薬剤を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、薬剤という科目のほんの一区画です。実際には、吸収から分布・代謝・排泄、そして製剤設計までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
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